ACT.13 『視界良好!彩聖はメガネっ子』



「あれ、どうしたの?彩聖」

万理架は心配そうに彩聖の顔を覗き込んだ。彩聖は目を細めて何かを探しているようだった。


「うん。コンタクト無くしちゃったみたいなんだ」

彩聖は落ち込んだ声で答えた。


「予備もってないの」

万理架が聞き直す。


「持ってるはずなんだけど...」

彩聖はバックパックからポーチを取り出して中身を確認した。

「入れておいたはずなんだけど...ない」


「そうなんだ...」

「じゃあメガネでもかける?」

心配する万理架。


「そうだね...」

「そうだよ」

彩聖はポーチからメガネケースを取り出して、こう言い放った。

「じゃじゃーん。こういう時は、IC!BERLIN」


「⁉」

「へー。メガネ姿の彩聖を初めて見たよ」

「でも、それって何?IC!...」

万理架が疑問そうに聞いた。


「これこれ」

彩聖はメガネをかけて見せた。「このメガネ。気に入ってるドイツのメーカーなんだよ。一枚のメタルプレートを切り抜いて、ハンドメイドで仕上げてるんだ。しかも、螺子を使っていないんだよ。すっごいでしょう」


「彩聖、すっごい似合っているよ。ほんと。ほんと。知的に見えるよ」万理架が興奮気に答えた。


「ほんとはね、私、メガネの方が好きなんだ」

「メガネをかけると、何だか誰かに変身したみたいな感覚があるんだ」


「メガネって楽しい‼」

心から、笑った彩聖。



最後は、カメラに向かって決めポーズ

「ブリレントレーガー(ドイツ語で、私はメガネっ子の意)」

「イェイ」



ACT.14『視界良好!彩聖はメガネっ子』終


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