ACT.7 『ハートをくれた子猫クオーレ』


我が家に初めて子猫がやってくる。


「あっ、帰ってきた」

窓際で待機していた万理架が、ドタドタと階段を降り、玄関に向かう。

外出していた彩聖が帰って来たのだ。


「はぁ、はぁ」

「着いた」

彩聖が玄関扉をゆっくり開ける。


「ただいまー」


「お・帰・り」


「早く見せて!」

「早く、早く!」

落ち着かない万理架。彩聖のまわりを一周する。



そっと、ゲージの扉を開けると、灰色の小さなかたまりが弱々しく、頼りなさげにでてきた。


改めて。

我が家に、初めて子猫がやってきたのだ。

全体に灰色の毛並み、4本の脚が白い。何より特徴的なのは、額の白いハート模様だ。



「かわいいね」

「うん」

「名前は?」

「クオーレ」

「イタリア語で心臓(ハート)と言う意味なんだよ」

「額の白い気がハートみたいでしょ」

「わぁ、ホントだ」

「ふふふっ」

「笑いすぎだよ、万理架」

「これからは、彩聖がこの子のお母さんだね」

「...。」

「うん」



「クオーレ、これからよろしくね」

「にやぁ」

「かわいいなぁ」


母親を亡くしている二人とって、

新たな、そして、尊い命との出会いであった...。




ACT.7『ハートをくれた子猫、クオーレ』終


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