第22話 乱入

「お兄ちゃん、私はいつでもどこでも自殺できるんだよ?お兄ちゃんはそれを止められるの?止められなかったら多分お兄ちゃんも後追いしてくるんでしょ?なら別々に死ぬよりも心中の方が良くない?」


「つっっ、それは……そうかもだけど……でも、生きてても必ずいいことがあるはずなんだ。だから、『お兄ちゃん……勝ち目がないことぐらい本当はわかってるんでしょ?私が自分の命を盾に取ったらいうことを聞くしかない。でも私はお兄ちゃんの口から聞きたいからあえてそうしていないの。さぁお兄ちゃん、心中しましょう。』……俺は、俺は……。」



【ヴーヴー】


 俺の電話が鳴った。

 誰からだろう?

 待たせるわけにもいかないし一応出る。



「もしもし。」


『あっ、照くん。』


「どうしたんですか、春香さん?今ちょっと立て込んでて、手短にお願いできますか?」


『えっ、何かあったの?』



 気軽に話せる内容でもないので茜に小声で聞く。



「(春香さんが何かあったのかって聞いてるんだけど、どうする茜?)」


「私が心中したがってるって知ってるから大丈夫だよ。」


「お前がそこまで話すなんてそんなに春香さんのこと信用してんだな。」


「いや協力する条件で全部話さないといけなかったから。」


「お前も結構色々あるんだな。」


『もしも〜して照く〜ん。』



 あっ春香さんのこと忘れてた。



「すいません存在忘れてました。」


『ひっど〜い。ってそれより今何があったの?』


「実は茜に心中しないかって脅されt……ゲフンゲフン。誘われててですね。」


『へぇ〜。別にいいじゃん一緒に死んであげれば?』


「俺の周りには感覚がまともな人はいないのか……。」


『えっ何がダメなの?』


「何がって……とにかくダメな物はダメなんです。」


「お兄ちゃん、スピーカーにして。」


「お、おう急にでできたな。」



 とりあえずスピーカーにする。



「春香さん、私はなんで心中がダメなのかという理由が知りたいです。」


『って言ってるけど、どうなの?』


「それは……両親に顔向けができないからで……。」


『「お兄ちゃん(照君)もう諦めなよ。」』


「い、嫌だ。俺はまだ死にたくない。」


「なんで生きていたいの?生きてていいことがあるの?煩わしい人間関係、勉強、仕事……そして何より私達が結婚できないこと。生きてることはこんなにも問題だらけで面倒臭い。ねぇ、もういいでしょ?生きてても何もいいことがない。」


「なら、なら俺がお前を幸せにしてやる‼︎」


「私はお兄ちゃんと一緒にいられて十分幸せで、でもこれ以上の幸せのための結婚できなくてだからこんな世界にこだわるのはやめようってそう言ってるんだよ。」


「………………。」


『ねぇ、照君。本当は何が嫌なの?』


「……元々茜を幸せにできたら死ぬ予定だったんです。でも、まだ俺は茜を幸せにできていない。だからまだ死ぬわけにわ行かないんだ。」


「なんで私を幸せにしたら死ぬ予定だったの?」


「俺の、俺なりの贖罪だよ。」


『もう大分2人とも落ち着いたみたいね。じゃあ私は切るからあとはちゃんと2人で話し合いなさい。』


「えっじゃああのタイミングで電話をかけてきたのは……。」


『さあ、どうでしょう?じゃあもう本当に切るわね。』


「はい。ありがとうございました。」



 そう言った時にはもう通話は切れていた。

 果たして最後の言葉は聞こえたのか……それは春香さんにしかわからない。



「じゃあ俺たちも始めるか。最後の話し合いを。」


「そうだね、お兄ちゃん。」















《あとがき》


 私自身は死んだら楽だろなぁ〜と思う程度で、別に病んではいません。


 本当ですよ。

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