第21話 熱海&???

「熱海だぁ〜‼︎」


「う、うぇ〜い。」


「もうちょっとノリ良くいこうよお兄ちゃん。」


「そうはいっても恥ずいんだよこれ。」


「えぇ〜勿体無い(これが最後の旅行になるかもしれないのに……)。」


「ん?なんかいったか?」


「なんでもないよぉ〜。」


「今は3時くらいだな……じゃあ2時間ぐらいお風呂入って晩飯食べるか。」


「あっ私、湖か海で夕日見たい。」


「この近くだと芦ノ湖だな。じゃあお風呂に入るのは1時間にするか。」


「うん‼︎あとお風呂は家族風呂を予約しようよ。」


「家族風呂?」


「家族風呂っていうのはね、恋人とか家族とかが使う個室の混浴だよ。」


「へぇ〜そんなのあるんだ。じゃあそれにしよっか。」


「(よしっ)。」






















「おぉ〜なかなかの絶景ですなぁ〜。」


「お前、初めの頃とキャラ変わりすぎじゃね?」


「そんなことないよぉ〜。」


「おぉ〜綺麗な景色だなぁ〜。」


「自分から振っといて扱い雑っ‼︎」


「恐縮です。」



 というわけで今俺たちは家族風呂に入っている。



「というか家族風呂って宿泊者限定って聞いたけどどうやって予約取ったんだ?」


「そこ聞いちゃう?」


「いややっぱいいです。」



 なんか危なそうな気配がした。



「お兄ちゃん、そっち行ってもいい?」


「おう、いいぞ。」


「やった〜。」



 こういうたまに甘えん坊なところとかが俺のツボにめっちゃ刺さる……ヤバい、可愛すぎる。


 ん?たまに?

 なんかよく考えたらずっとあかねのわがままを聞いてきた気がするんだが……まぁいいか。

 可愛いし。



「お兄ちゃん、どうしたの?」


「いや、茜は可愛いなって。」


「つっっっ……もう‼︎不意打ち禁止‼︎」


「あはは、わかったわかった。」


「もう本当にわかってるの?」


「もちろん。……そろそろ夕日見に行くか。」


「そうだね。」



























「おぉ〜またもや絶景ですなぁ〜。」


「いやだからお前誰だよ‼︎」


「お兄ちゃん。」


「ん?なんだ?」


「心中しよ?」


「お、お前‼︎それはなしだって言っただろ‼︎」


「今日一緒に過ごしてて思ったの。やっぱり私はお兄ちゃんが好きなんだなぁ〜って。だからね、『ふざけるなよ茜‼︎‼︎お前は今回は普通の旅行だって言ってたじゃないか‼︎‼︎お前はまた俺を騙したのか‼︎‼︎答えろ、答えろよ‼︎‼︎』……初めはね、普通の旅行のつもりだったんだよ。でも、でもね……やっぱり自分に嘘はつけないや。」



 妹に、茜にまた裏切られた、騙された……そのことがショックすぎてそれでもようやく言葉を捻り出した。



「……帰るぞ、茜。」


「お兄ちゃん、私はいつでもどこでも自殺できるんだよ?お兄ちゃんはそれを止められるの?止められなかったら多分お兄ちゃんも後追いしてくるんでしょ?なら別々に死ぬよりも心中の方が良くない?」


「つっっ、それは……そうかもだけど……でも、生きてても必ずいいことがあるはずなんだ。だから、『お兄ちゃん……勝ち目がないことぐらい本当はわかってるんでしょ?私が自分の命を盾に取ったらいうことを聞くしかない。でも私はお兄ちゃんの口から聞きたいからあえてそうしていないの。さぁお兄ちゃん、心中しましょう。』……俺は、俺は……。」





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