第14話 やっと………
今俺は本日2回目の茜の目の前にいる。
お弁当を届けにきたわけじゃない。
「茜、家でこれからの俺たちについて大事な話がある。」
「ななななによ、そのわ、わたしたちの将来についての大事な話って?……ヤバい今日すっぴんだったわ。」
「茜はいつも化粧してないだろ。というか早く帰るぞ。ここではできない話だ。」
「わ、わかったわ。」
「俺は茜の気持ちを尊重したいと思ってるから。」
「う、うん。初めは痛いって言うもんね。」
「何の話してんだ?……まぁいいか。」
茜たちが立ち去った後の教室がカオスと化したのはまたは別の話。
「いいか、落ち着いて聞くんだぞ。」
「う、うん。」
「なんか顔赤いけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫だから。」
「そうか。実は……父さんと母さんが死んだんだ。」
「………………は???」
「茜、現実を見ろ。父さんたちは一足先に帰ると言った。だがこの家にはいない。」
「そ、そんなのいくらでも偽装できるじゃん。」
「本当に俺がそんなことすると思ってるのか?」
「……そうね。冷静じゃなかったわ。」
「両親が死んで平然としてる俺たちの方が異常だけどな。」
「ふふっ。それもそうね。(というか大事な話って告白じゃなかったんだ。)……残念。」
「残念って何が?」
「なんでもないわよ。」
「でもあれだ……こうして冷静でいられるのは間違いなく茜のおかげだ。ありがとう。」
「私もよ。お兄ちゃん。」
「どどどどうしたんだ⁈お前がお兄ちゃんって呼ぶなんて。職員室では呆然としてたからだとしても今は素だろ⁉︎」
「2人きりになったわけだしもう良いかなって。お兄ちゃん、私ねずっと前からお兄ちゃんのこと『ちょっと待ってくれ茜。その前に俺から一つ。』……何?」
「小学校の頃は本当にすまなかった。」
「小学校の頃って?」
「リア充君に告られたあとだよ。」
「あぁーあの時のか。なんでお兄ちゃんが謝るの?」
「俺は家族が辛い間に合っている時に何もしてやらなかっただろ。今更だけど本当にごめん。」
「ふ、ふふ、ふふふふふふ。」
「ど、どうしたんだ?大丈夫か‼︎」
「えぇ大丈夫よ。あのねお兄ちゃん、お兄ちゃんがずっと一緒だったから耐えられたんだよ。」
「そんなの家族として当たり前じゃないか‼︎」
「普通は腫れ物に触るように扱うのにお兄ちゃんは普通に接してくれたでしょ。それにどれだけ助けられたか。」
嘘である。
この女はまさか小学校の時の偽装がこんなに効いてるなんてラッキー、お兄ちゃんを罪悪感から解放して優しい妹アピールをすることしか頭にない。
「ゆ、許してくれるのか?」
「許すも何も初めから怒ってないし、むしろ感謝してるわよ。じゃあさっきの続きを言うね。」
「お、おう。」
「お兄ちゃん私はずっとお兄ちゃんのことが好きです。」
「んっっっ。ありがとう。俺も好きだよ。ずっと前からね。不束者ですがよろしくお願いします。」
「う、嘘……私ずっとお兄ちゃんに嫌われてると思って……。」
「俺も実は茜に嫌われてるんじゃないかって怖かったんだ。だってずっと塩対応だったし、いじめられてたときにどうして助けてくれなかったんだって責められてるような気がして。」
「私たち似たもの同士だね。」
「そうだな。さて、これからどうする?」
「どうするとは?」
「いやさぁ俺たち親が死んだわけじゃん?だから引き取られ先とか色々と面倒くさそうだなあ〜と思いまして。あと俺たち恋人になったわけだし、付き合い方とかぶっちゃけると、家族だから結婚はできないだろ。」
「っっっそうね。わかっていたわ。私とお兄ちゃんが結ばれないことは……でも少しだけ少しだけでいいのお兄ちゃんの温もりを頂戴。」
「もちろん。その代わりお前の温もりもくれ。」
《あとがき》
やっとこの兄妹くっ付いたーーー‼︎
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます