第12話 人生の崩壊
なんの変哲もないどちらかと言うと平和すぎた日だった。
俺はまだ知らなかった。これが嵐の前の静けさだと言うことを…………。
【1年の赤石茜さん、2年の赤石照くん、至急職員室まで来てください。】
今俺は茜の目の前にいる。
俺が茜に会いたかったというのもあるが、本命はお弁当を届けることだ。
「ん。」
「どういたしまして。」
「何も言ってないんだけど。」
「俺にはちゃんとわかってるから。」
「あっそ。」
「どうした?元気ないな。いつもならキモい死ぬとか言ってくるのに。」
「届けてもらってそんなことは言わないわよ‼︎」
「ありがとうお兄ちゃん‼︎って言ってくれてもいいんだぞ。」
「調子乗るな。」
クラスの女子たちが寄ってきた。
「あの、茜さんのお兄さんですよね?」
「そうだけど。」
「やっぱり‼︎道理でイケメンなわけだわ。」
「茜が可愛いのはわかるけど俺がイケメンなわけないじゃん。」
「………………。」
「何言ってんだコイツって目で訴えないで欲しい。」
なんか茜が不機嫌な気がする。
あそっか、そりゃ大っ嫌いな兄が自分のクラスメイトと話してるのは嫌だよな。
「邪魔だしあんたもう帰ってよね。」
だがしかし俺はここでスルーしていくぅ〜。
「今日の晩飯何がいい?」
「って話聞いてないし。まぁいいや、晩御飯はなんでもいいわよ。」
「オッケー。」
「「「………………。」」」
なんかクラス中の視線を集めている気がする。
「どうしたんだ?」
「「「夫婦かよっ‼︎」」」
「何言ってるんだ‼︎」
「「「そ、そうだよなー。」」」
「俺達がそんな関係に留まるわけないだろ。」
「学校で何言ってんだこの馬鹿兄貴‼︎」
「そういや今日あの二人帰ってくるらしいぞ。」
「マジ⁉︎聞いてないんだけど。」
「そりゃサプライズなんじゃね?知らんけど。」
「それ言っちゃって大丈夫なやつ?」
「さあ?」
あの2人とは俺たちの両親だ。
有名なデザイナーで忙しく世界中を飛び回っているので滅多に帰ってこないが、帰ってくる時は直前まで連絡をしないことが多い。
全くいい歳して子供っぱいところがなんというか……。
そんな時だった。
【1年の赤石茜さん、2年の赤石照くん、至急職員室まで来てください。】
俺たちの人生を狂わす放送が流れたのは。
「なんだ?まあいいや。ほら、茜も行くぞ。」
「ん。」
今俺は担任の目の前にいる。
お弁当を届けにきたわけじゃない。
「単刀直入に言おう。照と茜、お前らの両親が乗ってる飛行機が墜落したそうだ。」
「………………せ、先生、エイプリルフールならとっくの昔に過ぎてますよ。」
「………………。」(茜)
「冗談でもこんなこと言うかよ。現実を受け止m『嘘だ、父さんと母さんがそんなことで死ぬわけない。』……そうだな。」
「ふざけないでくださいよ。」
「俺は至って真面目だ。」
「バカ兄貴、いやお兄ちゃんいい加減受け入れなよ。」
「なんでお前はそんなに平然としてんだよ‼︎‼︎」
「平然となんてしてないわよ‼︎‼︎あんただってわかってんでしょ。」
「……すまんかった。ショックで、正気じゃなかった。」
「いいのよ両親が死んだんだもの仕方がないわ。」
「「ただいま〜。照ぅ〜、茜ぇ〜、二人とも元気にしてたぁ〜?」」
「「へ??????」」
職員室の入り口に死んだはずの両親が立っていた。
《あとがき》
題名で騙してしまってすいません。
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