第11話 お前らマジで……

「すべての謎は解けた‼︎」


「いきなりどうしたんですか?」


「やっぱり君はその子のこと好きなんだよ‼︎」


「だから違いますって。」


「根拠はあるよ。」



 何を言っているんだ?でもまぁ



「聞くだけは聞きますよ。」


「君は誠実だから今好きな子に対して引け目を感じてるんじゃないかな?それで無意識のうちに……『話になりませんね。』ちょっと待ってよ‼︎まだあるからさ‼︎君は小さい頃からずっと一緒だったからその子を恋愛対象として見れてないんじゃないかなぁ〜なんて……どうかな?」


「……期待した僕が馬鹿でした。」



 期待はずれにも程がある。

 そんなことはラブコメの中でしかあり得ない。

 ついに春香さんは2次元と現実の区別がつかなくなってしまったのか。

 かわいそうに。



「かわいそうな動物見る目はやめて。」



 おっと気がついたらもう少しで朝礼だ。



「僕もう学校行きますね。あと、一応話は聞いてくれてありがとうございました。」


「あ、うん行ってらっしゃい。」



 はぁ……朝から疲れた。唯一の友達兼幼馴染を無くしたところだし学校着いたら寝よ。




 なんて日だ‼︎


 


 俺はこれほどまでに神を恨んだことはない。

 ちょっと前に優美と男がいたのだ。

 しかもなんか喧嘩してるっぽいしさぁ〜。

 お前ら付き合い始めたばっかなのにいいかげんにしろよな‼︎

 

 ……もういいや、疲れてるしスルーしよ。

 


 と思ったらなんか引き止められたんだが‼︎



「で、何?俺、学校行きたいんだけど。」



 いや、正しくは一刻もここから早く立ち去りたい。

 だって明らかに面倒臭そうじゃん。



「今あんた面倒臭そうって思ったでしょ。隠そうとしても無駄よ。何年幼馴染やってると思ってんのよ。」


 

 女の勘って怖いね。

 すると隣の男が急に怒り始めた。



「優美の幼馴染というのは貴様か‼︎」


「いえ違います。この子とは初対面です。」


「「幾ら何でも無理があるだろ(でしょ)‼︎」」


「さすが恋人同士。交際期間1日でも息ぴったしじゃねぇか。どうぞこれからもお幸せに。」


「「いやこんな奴とは別れるが(けど)‼︎」」


「は……?お前ら昨日付き合い始めたんだよな?」


「「そうだ(よ)。」と言うか俺先輩なんだけど……。っておーい聞こえてるかぁ〜?」



 


 どうやら元々2人とも好きな人が別にいるが、その人と付き合った時に恋愛経験がないのは困ると思って付き合う練習をしていたらしい。

 でも、あまりにも相性が合わなさすぎたんだとよ。

 1日で露見する相性の悪さって相当だな。


 ちなみに男が怒っていたのは俺がちゃんと躾けなかったからだとよ。

 ふざけんじゃねぇー‼︎

 理不尽にも程があるだろ‼︎

 ふぅ……落ち着け、俺。

 怒ったところで何にもなりはしない。



 まぁ何はともあれ優美が独り身のままで良かった。

 

 いや、俺はただ唯一の友達がいなくなるのではという心配をしていただけであってだな、別に優美のことを好きというわけではない……と思う。

 誰か教えてくれ‼︎

 俺は優美のことが好きなのか?

 いや、これについては焦らず、ゆっくりと自分なりの答えを出そう。





「じゃあそういうわけだから、また明日から一緒に登校しよっ‼︎」


「あぁ、そうだな。先輩も告白頑張ってください。応援してますよ。」


「ありがとう。」



 そう言って先輩は学校へ歩き出した。



「俺たちもいくか。」


「そだね〜。ところで私が先輩と別れたって聞いて安心したでしょ‼︎」


「そそそそそそんなことないぞ。」


「今のがわからないのは、ラノベの鈍感主人公ぐらいだと思うわよ。」


「ノーコメントで、これ以上の追及は勘弁していただけないでしょうか?」


「しょうがないなぁ〜。仏の優美ちゃんが見逃してあげよう。」


「ありがとうございます優美様。」


「私たちも学校行くよ〜。」 


「はい喜んで‼︎」

















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