第5話 罠にハマったお兄ちゃん
小4の頃からお兄ちゃんはカッコよかった。
近所のおばさんには美男美少女兄妹なんて言われていたけれど、私はおまけだったんだろう。
女子たちから些細な嫌がらせを受けていたのはきっと当時から完璧超人だったお兄ちゃんのせいだと思う。
でもお兄ちゃんを好きになってしまうのは女として当然だもの。
仕方のないことだと割り切っていたわ。
でもあるときあいつが……あの名前を出すのも穢らわしいクズが教室の真ん中で告白してきたの。
あの自信に満ち溢れた表情を思い出すだけで腹立たしい。
ゴホンゴホン。
ちょっとだけ熱くなってしまったわね。
私はその頃からお兄ちゃん一筋だったので、もちろん断ったわよ。
それからの嫌がらせは壮絶なものだった……………そんなふうにお兄ちゃんの耳には入っているはず。
実はあいつは顔こそいい(もちろんお兄ちゃんとは比べるまでもないけど)が女癖が悪く、学年の女子からの信頼も人気もゼロだった。
でもなぜか他の学年には広まっていないので、一見カースト上位のリア充にでも見えたのだろう。
鬱憤が溜まっていたのか分からないけど、私が告白されてからの女子の嫌がらせは多少過激なものになった。
さてここで問題です。
もしカースト上位のリア充君から告白されて嫌がらせがひどくなった妹がいるとします。その子の兄はとっても優しい子です。さて、その兄はどんな行動をとるでしょうか?
お兄ちゃんの場合の正解はできるだけ行動を共にするでしたぁ〜。
彼女たちのおかげで大好きなお兄ちゃんが家でもずっと一緒にいてくれて、どんなわがままも受け入れてくれるようになった。
感謝しかない。
流石に学校では昼休みだけしか一緒にいられなかったけど嫌がらせの偽装はしやすかったから良しとしよう。
そして小5になってから塩対応になったのは、人間の1つの謎について納得すればそれ以上踏み込まない心理を利用した当て馬だ。
こんなふうに私がお兄ちゃんのことを騙してたって知ったらがっかりするかな?
あっでも、今もう既にがっかりされ切ってるからもうこれ以上失望されることはないか。
あははは、は、は、、、は…………………ぐっっ、この自虐は心を深く抉りすぎる。
えっ、失望されてないって?
そんな慰めいらないわよ。
だっていつも揶揄ってくるし、どうせ私のこと馬鹿な脳筋メスゴリラとか思っているに違いないわ。
いや良くない、良くないわ茜。
お兄ちゃんが、あの聖人のような照兄ぃがそんなこと考えてるわけないじゃない。
それに私で遊んでいたとしても……………………
「いいじゃない、夫のストレスの吐口となるのは妻である私の役目よ。」
そんなふうに自分に言い聞かせる茜であった。
《あとがき》
どうも“妹が欲しい不眠症"です。
読んでいただきありがとうございます。
小4の頃の茜は策士キャラでした。
いつもと違う茜もいい‼︎
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