第3話 兄妹揃って悶々と……2人の新たな決意
「挨拶は言われた時に返そうな茜。」
「人の挨拶にいちいち文句つけてんじゃないわよ‼︎」
そう言って私が出てきたのはお兄ちゃんの部屋だ。ちなみに今は自室のベットに倒れ込んでいる。
何してるかって?もちろんお兄ちゃんのことを考えている。
私の1歳上の兄の赤石照は人間とは思えない程カッコいい。
体は鍛えられてるし、顔も芸能人とは比べるまでもない。
しかも家事も一通りできるみたい。
そういえば小6から急に柔道やりたいって言い始めてたけど、なんでだろ?
しかもなんか結構強いらしいし。知らんけど。
お母さんは「ウフフ、お兄ちゃんに感謝しといた方がいいわよ。」って言ってたけど……まぁ理由はまた今度聞けばいいか。
そんな超ハイスペックお兄ちゃんが通ってる高校はこの地域では結構有名な進学校だ。
しかもそんな高校にほぼノー勉で合格し、その後定期テストではずっと1位をキープし続けているらしい。
お兄ちゃんと同じ学校に入学したいと思って偏差値をみて絶望したばかりだ。
そこからは死に物狂いだった。
嫌いな勉強もお兄ちゃんとの高校生活を妄想することで頑張ることができ死闘の末、ついに天国行きの切符、お兄ちゃんの通う高校の合格通知を手にしたのだった。
入学するだけで死にそうになったのに、本当に血繋がってるのかしら?
はぁ……血繋がってなかったら結婚できたのになぁ〜。
自分で言ってて悲しくなってきた。
まったく、いつになったらお兄ちゃんは私の気持ちに気づいてくれるんだろう。
たまぁに恥ずかしくなって冷たく当たってしまう時もあるけど照れ隠しだって気づいてくれてるはず。
たぶん、おそらく、きっと、maybe……。
そんなお兄ちゃんを好きになった理由は……やっぱ恥ずかしいからまだ言わない。
いつかまた機会があったら。
というかそんなことよりどうやったらお兄ちゃんの前に出ても素直に自分の気持ちを伝えらるのかな?
なんか私だけ悶々としてるの狡くない?
茜が悶々としている頃、照はというと……
「あぁぁぁぁぁぁっっっっ〜〜〜〜〜。」
先程の寝起きの会話を思い出して羞恥心に身を焦がし、自室で絶叫しているのだった。
「可愛いとか美少女とか平気で言ってたけど心の中ヤバかったし、なんなら今もマラソン並に心臓バクバクいっちゃってるよ‼︎」
もしあいつが顔赤くした原因が俺に褒められたことじゃなかったら俺って勘違い野郎じゃん。
あっヤバい思い出したらめっちゃ恥ずくなってきた。
この話題についてはこれ以上触れないでおこう。
「ていうか何、あの質問‼︎俺の理性ぶっ飛ばすなの‼︎あいつは俺に狼になって欲しいのか?そうなのか?」
ふぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ。
落ち着け俺のハート‼︎
もう一度よく思い出してみよう。
そう今俺の心を掻き乱しているのは俺がどんなおっぱいが好みかって質問。
理想の返答を妄想してみた。
『俺は茜が好きだからそんなの関係ないよ。』
そう言いつつ俺は茜の唇に顔を近づけて……。
「ってできるかぁぁぁ‼︎そんなことできてたらこんな拗らせてねぇんだよ‼︎」
そう、何を隠そうこの男、赤石照は妹を前にするとテンパって揶揄う口調になってしまうのだ。
茜のスタイルについても本心なんだけどなぁ〜。
はぁ……でも、あの様子だと気付いてもらえてないのかな。
なんか俺だけ悶々としてるの狡くない?
「こうなったら全面戦争だ‼︎絶対本当の気持ち伝えて鉄壁の茜を陥落させてやる‼︎待ってろよぉぉぉぉ茜‼︎」
照は新たな決意をしたのだった。
その頃茜はというと……。
「私だけが悶々とさせられてるなんて許せないわ。こうなったら全面戦争しかない‼︎絶対本当の気持ち伝えて鉄壁のお兄ちゃんを陥落させてやるんだから‼︎待ってなさいよお兄ちゃん‼︎」
同じような決意をしていた。
かくして、2人の戦いの火蓋は切って落とされたのだった。
《あとがき》
どうも“妹が欲しい不眠症“です。
読んでいただきありがとうございます。
実はこの話はですね、『茜の悶々とした日々』と『照の悶々とした日々と2人の新たな決意』と言う二つに分けていたのですが、短すぎたので急遽合成することになりました。
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