第14話 みんな大好きっ!
朝はみんな早かった。遊ばないと損、そんなテンションだ。ビュッフェを食べて、先ずはホテル内にある免税店へ。
「ここでは地元のお土産なんて買っちゃダメよ、免税店なんだから普段安くならない化粧品とかブランド小物とかだよ」
姫の注意喚起が続く。ここには大した用はない。姫は北投石を買いに来たのだ。放射能が出てる石、ここで買える。
「でもこれ可愛い、あのお茶は?」
やはり言うことを聞かない。早々に北投石を購入して店を出る。よし明洞(ミョンドン)に移動だ!
「ところでさ、姫ってソウル来たことないんだよね? やけに詳しくない? 住んでたりしたんじゃない?」
「そんな事はないよ、検索に関しては能力者なのよ、私」
「そんなのどうでもいいから、みんなのお土産買いに行きたい。それと美味しいもの……」
香菜、この旅行で太らないかな……
明洞(ミョンドン)は若い女子には楽しいところだ。以前は日本製品不買運動後とかで大変だったが、今は店頭に日本語も見受けられる。2人は化粧品のお店巡り、姫は根負けしてカフェで休憩していた。華たちが戻ってきた、あ、ナンパされてる。香菜が中指立ててる、大丈夫かな?
劇的な出逢いなど起きることもなく、美味しい冷麺を食べてホテルに戻る。いよいよ夕飯で舞と会える!
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明日は大切な3決、昨日の準決勝で惜敗をしてしまった。リフレッシュの為に15時以降はオフになった。しかし舞は呼び出されている、そうあの武藤さんに。コーチを通して伝えられたが、なんで? とは思った。恐らく姫の差し金だろう、武藤さんと和食を食べたことは聞いていた、ずるい!
「遠藤さん、武藤さんきたよー」
「はじめまして武藤さん、遠藤舞です。今日はよろしくお願いします」
「あーこんちは。はじめましてだね、姫ちゃんから色々聞いてるけどイメージ通りね」
「どうも」
気になる、どんな話をしたのか……まさか豆タンクとか言ってないよな。
武藤さんと車で向かったのは焼肉店。明日は試合なのに、と舞は思う。二階の個室に進むとそこには……
「舞ー、会いたかったよー」
「姫、華、香菜、なんでここに…………」
「会いたくて、応援したくて来ちゃった!」
抱き合って喜ぶ。舞は泣きそうだ。
「みんな大好きっ!」
舞は叫ぶ!
「これで姫の奥様が揃ったな、よーし、私奢るからたくさん食べろー、でも舞はご飯抜きのナムル多め、肉は程々に!」
「はぁーい」「いつもありがとうございます」「やった」「……」
舞は全く言うこと聞かなかった。
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たらふく食べたあとホテルに戻る。久しぶりの4人での女子会である。舞はホテルに泊まることを許された、というか武藤さんが強引に監督に話をつけた。
「たくさん食べたよね。ね、プール行かない? 水着は借りられるからさ」
姫が言い出す。海、プール、シャワー、温泉、どれも姫の夢だ! クズだ! 渡邉と変わらない。キラキラ水着拝みたい。
「よーし、いこー!」
「ジャクジーとかもあるから、泳がなくても痩せるかも知れないよー」
「いくいく」
「私は泳ぐ! トレーニングする!」
「なんかセレブになったみたい」
ホテルで借りたダサい水着の華が手元のジュースとクルクルストローを手に取りながら呟く、素材はいいが画にならない。
「舞って魚みたいに泳いでる、香菜はずっとウォークゾーン。みんな目的違うのね、どうして仲良しなんだろ?」
4人とも全く違った楽しみ方をしている。1人は水着やお着替え鑑賞、1人は優雅に寛ぐ。ダイエットしてたり、トレーニングしてたり……華の言う通り別々に楽しんでいる……
「みんな違って みんないい だよ、華」
「さすが溢れる教養、そして巨乳」
「巨乳は溢れてないと思いますが、華さん。訂正してください、華より巨乳って(笑)」
「訂正します、華と同じ美乳 でいいかな」
「まあよろしい」
4人の時間はまるで宝石のよう、明日の試合とかどうでもよくなる。その点舞は凄い! 彼女こそ代表に相応しい、姫は大切なもの(思い出)を手に入れた。
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試合当日、昨日より朝は早い。姫は舞と固く握手、試合に送り出す。そして少しすると武藤さんが迎えに来てくれた。
「みんな、おはよー。昨日は楽しめたかな?」
「はい! 武藤さんのお陰で舞も一緒だったので、盛り上がりました」
「そりゃめでたい! じゃあ行くよー乗って!」
今日の試合は14時から。そしてフライトは最終便。チェックアウトをしたのでみんな大荷物、何をそんなに買ったのだろう……
会場に着くが観客はほとんどいない。武藤さんを含めて4人で〜ファイト〜と書いてあるハッピを着る、香菜の手作りだ。かなり目立つ。
日本対中国、どちらのチームも来年のU20ワールドカップの出場権を獲得してる。言わば消化試合みたいなもの。舞はスタートでボランチでなく、トップ下での出場。
試合は舞の大活躍! 何と2ゴール1アシストで中国に4-0の圧勝。友情パワーが爆発した。
試合後、残念ながら舞には会えない。そのまま空港に直行した。帰りもビジネスクラスにしておいたので、ラウンジでゆったりと過ごす。
この旅で、姫は自分がすべきことを見つけた。
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