第13話 シークレット大作戦

 昨日は盛り上がった。華も香菜のコミュ力が向上してる。武藤さんと北川さんとも親交を深めた。そして代表は解散、それぞれのチームに戻る。各チームの主力クラスなのに比較的大人しめかな、姫の最終的な印象である。


「おはよー、伊集院さん」


「おはよ、山田さん」


 最近、よく話しかけてくるクラスメイト。肩までの黒髪、顔のパーツは地味だが、制服がよく似合う。


「たくさん来てますね〜お手紙」


「だねー。直接話せばいいのにね、別に拒否してる訳ではないのに」


「そんなの出来ないよ、最近はカトレア1年の間ではヒロイン化が進行してるんだから! 話しかけるなんて勇気いること」


 そんなもんかね。悪い気はしないが、どうせなら一人ずつ面談したい(笑)。お手紙には必ず連絡先かある、写真同封もある、内容は……ここでは書けない。


 上履きに履き替える。しかしこのご時世、下駄など履いてる人はいないのに何故下駄箱なんだろう? カトレアなんだからオシャレな呼び方にしてほしい。


 教室に入る


「姫、人気すごいね。1年男子は全員姫狙いって話よ!」


 冗談やめてほしい。オトコは絶対に、ない! そうだ、こういう時は人脈駆使と……


「おーい、男子みんな来てる? ヒメ様が呼んてるからみんな整列〜」


渡邉達が渋々集合


「何でしょう? ヒメ様」


「あなた達、1年生の男子って体育とかで一緒になること多いよね? なら全1年生男子に、伊集院姫はどんな事があってもオトコとは付き合いません、恋愛対象外です、って伝えて!」


 そう、男子に好かれるのが一番良くない。女の嫉妬は怖い、特に恋愛関係は。女子からの告白は……気分いいからそのままにしよ。



△△△△△△△△△△△△△△△


 

 週も半ば、部活や生徒会終了後駅前のファミレスに3人が集合した。


「姫、本当に決行するの?」


「みんなでソウルいこうよ! だって保護者の代わりは武藤さんが引き受けてくれたし」


「私は両親大丈夫だった。華はどうなの?」


「信頼出来る大人が居ればっ大丈夫だけど、武藤さんちゃんとしてないし」


「34って年齢と、サッカーでテレビによく出る人で問題ないっしょ」


 U19の応援をしにソウルまで行こうという計画をしている。舞にはナイショ、喜ばせたい。決勝と3決は来週日曜の昼間、金曜午後にソウルに向かって日曜の最終便で戻る計画だ。食事会で武藤さんに話したら、保護者で参加! という運びになった。来週日曜日、リーグ戦はない。


 それぞれの家庭でもようやく許可が下りた。往復の航空券は姫パパのマイルを使って航空券を3席取ることに、そして姫がこっそり追加料金でビジネスに変更していた。ソウルでは……お菓子の名前のホテルを予約してある。


 金曜日、授業のあとは急いで空港だ。華はちゃっかり姫と香菜と3人を生徒会を通して学院に公式訪問団として認可させた。さすが生徒会、一度生徒会長とは話してみたいものだ。


「何とか間に合ったねー」


 華も香菜も海外旅行は行ったことある、が、慣れてはいない。姫を先頭に出国から搭乗まで無事に終える。


「ソウルの空港で武藤さん待ってるみたいよ」


「あの人、自由人よね。一緒の便の筈だったのに」


 フライトは、2時間、話しているとすぐに到着だ。


「早かったねー、まだ21時半だよ」


「おーい、若者ー」


「武藤さん、」


 そしてもう一人、片言日本語の女性。キムさん、武藤さんの元チームメートだったらしい。


 タクシーが用意されている。キムさんが手配したようだ。


「何か食べに行こう!何がいい?」


「あの、景福宮(キョンボックン)の近くあるサムゲタン屋さんがいい!」


 香菜より先に反応してしまった……。他の2人も健康食は好きだ。人参とかも入っててきっと喜ぶ。


「よく知ってるね、ヒメサン。そこオイシイよ」


 キムさんに褒められた。そりゃソウルに何回か来れば必ず行くでしょ、姫の場合は前世で20回は来ている。


 お店に着くと奥に通される。前もって予約したようだ、そりゃ元韓国代表のキムさんだからね、個室になる。やはり女子5人が集まると盛り上がる! キムさんは日本語が達者だ。ボーイッシュで韓国内でも女性に絶大な人気を誇るそうだ。武藤さんはマッコリで半分潰れている。前世の社員旅行思い出す。明日も早いので23時には解散した。


 ホテルのチェックインを済ませ最上階のスイートルームへ。このホテルは姫が用意した。舞と仲直りが出来たのは2人のお陰、これはそのお礼だ。それと億り人の口止め料も込みだ。


「きゃーすご~い。眺めいいし、何この広さ、無駄に広い」


「お姫様ベッドだぁ、ねね、ここのフルーツって食べてもいいのかな?」


 それぞれが喜んでいるようだ。という姫にとっても前世でも体験したことのないゴージャスさ、テンションあがる!


 深夜まで話した。一緒にお泊りは初めてだ。恋バナとか女性特有の悩みとか、とてもじゃないけど人には言えない話まで、2人は女性では大先輩、勉強になる。


 明日はいよいよ舞と会う! 楽しみ。

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