赤嶺茜-1 「メラルとココとカントと一緒にたくさん戦って、それで……浄化したなあ。たくさん」
「メラルとココとカントと一緒にたくさん戦って、それで……浄化したなあ。たくさん」
ふとそう言ってため息をついた赤嶺を新崎は優しく見つめた。
「うん。本当に……」
「あれ、何も言わないんだ。いつもだったら『そんなこと考えないで』とか『みんなを助けるため』とか言ってたのに」
「私だって思うところはあるもん。2人が言ってたことも痛いほど分かるよ。だけどココ達を守りきるって約束しちゃったし。それに私達が協力しなかったらもっと戦争で……」
まだまだ話すつもりの新崎を赤嶺が止めた。
「ストップストップストップ! 分かってるから。ずっと頑張ってたんだよね」
「まあ……誰にも自慢できないけど」
新崎が弁当を一口食べるが、とても美味しそうに食べているとは言えない複雑な顔をしていた。
少し話が重くなってしまったので、新崎を明るくするために赤嶺が話を変える。
「そうだ、今日病院行って
「うん。一番苦しかったのは凛瞳ちゃんだしね。虫も殺せない優しい子なのに頑張って戦ってた」
「凛瞳が退院したらちょっとしたパーティでもやっちゃう?」
「いいねぇ! でも茜ちゃん、ちゃんと彼氏のことも構ってあげないとダメだよ?」
「分かってるよ。ってかみのりが言えたことじゃないでしょ。フラれといて」
「こっちがフッたての! それいつまで言ってるわけ!?」
「あははは、ごめんごめん!」
皮肉と皮肉の応酬だったが新崎も赤嶺も笑い合った。摩耶の意志なんて知らない2人としては、早く解放されたい気持ちもあってもう終わった気でいたのだった。
そうして雑談をしながら持ち込みのものを食べきった後、新崎は本題のことについて赤嶺に聞いた。
「それでさ茜ちゃん、話ってなんなの?」
「ベンシーを助けた男の人のことでさ。もし私たちが先に見つけたら説得してみない?」
「えっ?」と新崎が首を傾げた。
「だってさ、もしギアテクサが先に男の人見つけたら何するか分かんないじゃん? 無理やり痛めつけて聞き出すかもしれないから」
「ふーん……。それもそうだね」
新崎は特に興味が無いような素振りで返答した。そんな親友の態度の急落に赤嶺は少し顔がひきつるが何も言わない。
「今日お見舞いに行く時も凛瞳にこのこと伝えようと思うんだ。その男の人は何も関係ないから」
「だよね。あの男の人がいなけりゃ全部終わってたんだから。昨日の戦いだって本当は……」
そこまで言って弁当に箸を伸ばして食事を再開する新崎。赤嶺も続くようにまたパンを食べだしたが、新崎の態度に気が気ではなかった。
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