六月十四日
新崎みのり-2 新崎みのりの在籍する高校、緑ノ宮高校に昼休みが来た。
新崎みのりの在籍する高校、緑ノ宮高校に昼休みが来た。
「みのりちゃん、一緒に食べよー」
と新崎の元に同じクラスメイトの女友達が二人寄ってくるが、新崎は申し訳無さそうな笑みを浮かべて謝るように手のひらをペチンと合わせて断った。
「ごめん! 今日ちょっと無理なの」
「え? どうしてよ。なんか忙しいの?」
「まあそんなとこ」
「なになに? 新しい彼氏?」と片方の女友達がからかうように言った。
「ははは、まだ早いでしょ」
笑いながらそう言うと新崎は席を立って同じクラスの赤嶺の席に近づいた。赤嶺の席の近くにも一人の男子高校生が来ていたが新崎と同じく振り払っている所だった。
「茜ちゃん。行こっか」
「あっ、そうだね。そういう事だからごめんね、悠斗」
「いいよいいよ。大事な話なら」男子高校生の方も気さくに応じた。
新崎は弁当、赤嶺はパンの入ったレジ袋を持って人がごった返す廊下を歩く二人。新崎と赤嶺が話そうとしてる要件とはもちろん異世界や戦いについてのことだった。
学校の屋上に辿りついて、そこにあったベンチに座る二人はそれぞれ持ち寄った昼飯を食べながら会話する。
「いやあ、噂になってるねぇ。騒音騒ぎ」と新崎が話す。
「私たちのせいなんだけどね、ハハハ」
向こうの世界の住人はここの世界の住人の記憶や記録に残らないのだが戦闘時の音は周りに伝わってしまう。そうなると複数人が警察に通報し警察が出動することになるが、当然誰が音を出したか分からないので原因を特定できない。これに関して同じ街にある緑ノ宮高校ではオカルトじみた様々な憶測が飛び交っていた。
ちなみに戦闘中破壊された街の外壁などは戦闘が終わり次第すぐさまスレルド王国が魔力の力で復元することとなっている。
「それでさ、本当なの? あのメール。私達はあの男の人を探さなくていいって」と赤嶺。
「うん。ココから聞いたの、今日の朝に」
「そうなんだ……」
惣菜パンを食べる赤嶺の揺れ動く感情を新崎が長年の付き合いで察知した。
「どうしたの?」
「あ、いや、ちょっとね。戦うこととか考えなくて良いって思うとなんか嬉しいなあって」
「そうだね。いっぱい戦ってきたけど、もう終わったんだね」
二人は今までの辛かった戦いの思い出を頭に浮かべる。身も心も傷つきながら戦ってきた記憶を反芻し青い空を見上げた。
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