勇者の変貌

「お、俺の腕が~!!」


 聖剣の能力は彼の腕を切断すると同時に、その力が行使されることはなく魔力が霧散して消えて、彼の腕と同時に地面に転がり落ちた。

 痛みで耐えきれないのか、涙を流しながら切断された腕を見て叫んでいた。


「はいはい、くっつけるよ~」


 そう言って彼の腕を掴むと、切断された部分に押し込む。


「少し我慢してね~」


 そう言うと、彼女は何かを取り出す。


「この傷を治せ……繋回復チェイン・ヒーリング


 彼女がその何かを撒き、魔法を唱えると切断された部分が魔法によって繋がれていく。


「ほい、痛みはある?」


 そういうと、勇者は不思議そうに繋がった腕を見ている。


「大丈夫そうだね~」

「………天使だ……」


 笑顔の彼女を見て、勇者はぼーっとした表情で彼女にそう言い放った。


「大丈夫~? お~い」

「結婚してください」


 ノウェムの腕を掴み、勇者はそういい放つ。

 一方の彼女は苦笑いを浮かべ、


「ごめんね~、私には心に決めた人がいるんだ~」

「その人とはお付き合いを!?」

「ううん、私の一方的な片思いかな~」

「なら……」

「でもね、この恋は諦めないって決めたんだ~。 ぐ~たらで飽きっぽくてもこの気持ちだけは変わらないと思う」


 いつもふざけたり、口を濁す彼女だが……この言葉だけは少し重みを感じた。


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