賢者対勇者

「死ね~!!」


 彼の剣が振り下ろされる。

 その威力はまともに喰らえば全員、跡形もなく塵と化すような斬撃波だった。

 流石に死んだと思った。


 しかし、攻撃が僕らに届くことはなかった。

 目の前にはノウェムが巨大な魔法防壁を展開していたからだ。

 

「皆~、今の内に私の所に集まって~」


 見ると、ゆっくりだが魔法の壁に少し切れ目が入っていた。

 急いで僕達は彼女の近くに集まると、彼女は防壁を小さくする。


 壁のひび割れは修復していき、難なく聖剣の攻撃を受け止めていた。


「へぇ~、これが聖剣の攻撃か~……大したことないね」


 そんなことを言っていると、斬撃を耐えきり衝撃波が消えた。

 目の前の奴は、驚愕の顔をしている。


「聖剣よ、力をよこせ!!」


 瞬間、突風が彼を中心に巻き起こる。

 これは、流石のノウェムでも耐えきれるわけがない。


「承認、完了……魔力を解放します……」


 不味い、この声はもうすぐ放たれる。

 しかし、近づくこともままならないほどの強風で僕達は足止めを喰らい、このままでは間に合わない。

 だがしかし、一人だけ違うものが居た。


「はい、そこまで~」


 いつの間にかノウェムが彼のそばにいたのだ。

 その言葉と同時に、彼女が右手横に薙ぐと突風が止んだ。

 同時に地面に金属音が鳴り響くのだった。

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