捕縛

「やぁ、ディール」

「お前は!?」

 

 僕の顔を見るなり、驚いた表情を見せる。

 それはそうだろう、こんな所で偶然会うはずがないのだから。


「久しぶりだな、舞踏会以来か?」

「ちょうどいい、探す手間が省けた」


 そう言って彼は嬉しそうに剣を抜く。


「嬉しいよ、手柄が勝手に来てくれて」

「質問に答えろ、お前の言うあのお方の居場所を言え、痛い目見たくなかったらな」


 僕の言葉が終わると同時に、彼は踏み込んでくる。


「いい踏み込みだけど、役不足だ」


 確かに速いが、それは王国騎士団ではというだけだ。

 僕は彼の剣を素手で受け止める。

 彼は必死に剣を抜こうとしている。


「答えてくれる気になった?」


 これで答えてくれなければ、不本意だが痛めつけるしかない。

 だが、奴も騎士団、誇りがあるのか口を開かない。


「へぇ、じゃあ仕方ない」


 そのままの刃を壊す。

 彼の得物が地面に転がる。

 

「もう一度聞くぞ、お前達の言うあのお方は何処にいる」

「それを言ったら殺されちまう!!」

「ここで地獄の苦しみを味わうのとどっちがいい?」


 そう言うと、彼は観念したのかあのお方について口を開いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る