陰謀

 話を聞くと、予想通りの名前ばかりだった。

 冒険者協会のギルド、ボロネスのギルドマスター、不屈のジンバ。

 国王の側近の大臣。

 その他にもいるが、国王の名前はなかった。

 案の定の傀儡というわけだ。


「情報提供ありがとう……君には選択肢がある」

 

 どうせ帰ったところで待っているのは死しかないので、この選択しかないのだが……。


「1.君は僕と分かれて協会に報告する……2.僕達の元で保護してもらうかだ……」

「そちらが安全だという保障は?」

「あるわけないだろ、お前はどこまで愚かなんだ」


 この状況で自分の保身に走るとは、愚かとしか言いようがなかった。


「お前にそんな選択できると思ってるのか?」

「……いや、出来ないな」


 溜息を吐くと、選択肢は決まったという顔で僕を見る。


「どうせ、戻ったところで粛清される……君達に懸けるか……」

「おっけ~、ではそこの中で全装備脱いで、これを着ろ」


 布服を渡す。

 こうでもしないと、奴らに僕らの居場所がバレるからだ。


「もう少し、あったかいのはないのか?」

「命があるだけよくないか?」

「……違いない……」

 

 そう言って彼が着替えると、先程来た方向に歩き出した。

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