揃う戦力

「これを」

「これは?」


 何の変哲もない小さな石だった。


「最悪、これを割って無理やりゲートを繋ぐ」

「それって……」


 昔、彼女が一度だけやった強制転移……しかし、あれは……。


「大丈夫、最悪の場合だから……レウルなら大丈夫よね」

「……あぁ」

「あと、ついでにこの子達も」


 ノウェムはもう一つのゲートを開いた。

 

「お前達……」

「私達も戦うよ」

「あの子を守れ、僕らなら大丈夫だ」


 そう言うと、横からドロップキックが飛んでくるが難なく受け止める。


「レイン、いきなりなんだ」

「大丈夫って何よ!! 私達が行くってんだから連れて行きなさい!!」

「えぇ~」


 珍しい、レインが自分から行きたがるなんて。


「あの子ならエレナちゃんが見ててくれるから、いいでしょ?」


 正直戦力が増えるのはありがたかった。


「私もエレナと共に見とくから、安心して言ってきてよ」

「……わかった、ノウェム……二人とも頼むと、エレナにも伝えておいてくれ」

「じゃ、行ってら~」


 僕らはゲートに飛び込む。

 

「どうすんの、エレナ……行くなら今のうちだよ~」

「ううん、私の役割を果たすよ」

「了解~、それじゃあ手筈通りに」

「えぇ、任せなさい!!」


 そう言ってそれぞれの思惑が駆け巡るのだった。

 

 

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