時間

「そんな場合じゃないんだ、終わったら構ってやるから」

「つ~ん」


 だからその「つーん」 ってなんだよ。


「お願いだノウェム、今は一刻を争う」


 いつ次の刺客を送り込んでくるかわからない。

 それが大天使だった場合、僕だけじゃなくノウェムやエレナも巻き込まれかねないのだ。


「まって、今最適ポイント探してるから」

「最適ポイント? 王都へのゲートじゃ駄目なのか?」

「なんか変な魔力が漂ってて怪しいから、最適ポイントに使い魔に向かわせてるんだよ」


 怪しい魔力……何か警戒しているのだろうか。


「……おかしい」

「何かあったのか?」

「使い魔たちの魔力が消えた」


 ノウェムの使い魔は最強種の龍だ。

 それが一瞬にして消えるとは穏やかじゃない。


「私も出るよ」


 焦っているのが目に見えてわかるほど、彼女は焦っていた。

 ノウェムが苦楽を共にした使い魔だ、それは心配になるのもわかる。


「落ち着け、お前が出てどうする」

「けど……」

「気持ちはわかるとは言わん、だが僕に任せてくれ」


 気持ちがわかるなんて言うのは烏滸がましい。

 今の彼女の心境など、彼女にしかわからないのだから。


「……わかった、サポートは任せて」

「頼む」


 ノウェムがゲートを開いた。


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