人間のという隙

 メビアは魔法を発動しても、表情が変わることはなかった。

 絶対的自信……結果が覆ることはないとそんな感じだった。

 久しぶりの感覚共有、視覚や剣の方から見える感覚だ。


 メビアは僕の視覚では動かなかったが、ラナークの剣からは近づいてくるのがはっきりわかる。

 彼女が剣の範囲に入ると、僕は踏み込み剣を横に振る。


「!?」


 メビアは即座に気が付き、後ろに飛び退く。

 攻撃は空を切る。 

 いつの間にか、目の前には後ろに飛んでいる彼女が視界に入る。


「私の権能が、何故!?」


 無表情の彼女だったが、流石に驚いたのか動揺している。


「やっぱり権能か」


 大当たり、彼女の権能はだ。

 僕達人間の視界は常に集中しているわけではなく、どこかしらで抜けているのだ。

 彼女の権能は、その集中力を阻害して自分の行動をわからなくするものだ。

 種が解かればどうという事はない。

 

「君では僕に勝てないよ」

「そうか、その剣か……なら!!」

「ミリア!!」


 そう言うと、ミリアが現れ彼女は形を変えた。

 剣ではなく、盾でもなく面だ。

 彼女だけが剣だけではなく、あらゆる物に変化できる。

 顔が面に覆われ、彼女を見る

 

「いい判断だ、私の魔法は彼女の権能と相性がよさそうだ」


 視界は暗くなり、彼女とのみ視覚を共有する。


「そんなの意味ありません」


 そう言って彼女は切りかかってきた。

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