安寧

 しばらく調査という事で、僕に出来る事は無い為勇者たち人側の動向がわかるまで皆とゆっくり過ごすことになった。

 

「さて、行くか……」

「はい!! 楽しみです!!」


 ラナークは嬉しそうな顔で、エレナに選んでもらった服を着て出てくる。


「エレナ、別にあのままでもよくないか?」


 言っちゃあなんだが、僕はいつもの黒を基調とした黒と蒼の服装だ。

 お洒落というより、戦闘面に特化した服装と可愛らしい服装のラナークではなんていうか違和感しかなかった。


「駄目よ!! 女の子のデートは可愛い服で行かなくっちゃ!!」

「で、デート……えへ、えへへ……」

「それで、なんでレウルはこの格好なの?」


 非難の目で僕を見てくる。

 昔は確かに私服という物があったが、今では戦闘服しかないのだ。

 誰かと一緒に何気なく出掛けるなど、なかったから。


「戦闘服しか持ってないんだ」

「はぁ、昔はちゃんとしてたのに私がいなくなったらこれか……」


 深く溜息を吐きながら、呆れたように僕の方を見る。

 確かに彼女の言う通り、昔から僕は服装に無頓着なのは否めない。

 向こうで買うか……。


「まぁいいわ……デート、楽しんでらっしゃい」

「行ってきま~す!!」


 僕とラナークは目的地に向かって歩き出した。



 

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