魔族の国

「♪♪~」

「楽しそうだな」


 ルンルンのラナークに問いかけると、ラナークは嬉しそうな顔で頷く。


「そりゃそうですよ、初めてじゃないですか!! ご主人と何気なく出かけられるの」


 そう言えばそうだった。

 初めて目的もなく歩いていることなど、村を出てから初めてだった。

 エレナが消え、ノウェムが消えて勇者としての使命があったのでそんな暇がなかった。


「どこ行こうか……」


 こういうのは初めてなので、どうしていいか迷ってしまう。

 エレナの時はエレナが行きたいところに振り回されてたし……ノウェムの場合は村のはずれで一日中日向ぼっこで過ごしていたから、わからない。


「どこへ行きましょうか」


 お互いにどうしていいかわからず、考え込む。

 こういう時はどうすればいいのだろう。

 そう考えていると、何かを考えていたのかポケットから何かを取り出す。

 

「それは?」

「行く所に迷った時ように、エレナさんから渡されたものです」


 こうなることを見越されていたのだろう。

 

「それにはなんて?」


 そう言うと、ラナークは僕に紙を渡す。

 手紙を開くと、この魔族の国でのおすすめリストが書かれていた。

 

 まずは服を調達しなさい、レノアの服飾屋という店には話を通しているからこれを見たら真っ先に向かう事。


「ここに向かうか……」

「はい、どこまでもお供します!!」

 

 そう言って僕らは近くの人にレノアの服飾屋の場所について聞きながら向かうのだった。

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