精霊剣レティシア

「僕が来る前に、皆の好物を教えておいたんだ」


 これは嘘だ。

 ウルスラは何かを隠している。

 だが、本人が言いたくないのなら、それは言う必要性のないことだ。

 例え、レティシアの知りたい過去についてもだ。


「そ、そうなの?」

「あ、あぁ……実は前もって聞いてたんだ」

「ふ~ん」


 ウルスラは僕の目を見てくると、話を合わしてくる。

 しかし、レティーは何かを感じたのか、弱腰ながらもじっと僕を見てくる。


「ど、どうしたんだ?」

「う、ん……べ、別に……」


 僕の言葉に目逸らして不機嫌そうに僕のいる場所から離れる。

 何だ?

 少し気になったが、追いかけた所で逆効果なきがしたので放っておく。

 こういう時、レティーに聞いたところで彼女は頑固なので何も答えないだろう。


「いいのか? 追いかけなくて」

「あぁ、あの状態のレティーは追いかけても逆効果だから、放っておくのが一番なんだ」


 まぁ、後でそれとなくラナークにでも聞いてみるか。

 

「……さっきは助かった」

「訳を聞いてもいいか?」


 あれほど渋ったのでいうはずもないと思ったが、なんとなく聞いてみた。


「別に話すことでもないが……まぁいい、簡単な話だ……人間もそうだが、前世があるのは知ってるな?」

 

 そういう事か……。

 

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