レティシアとウルスラ
「兄様、食べてる?」
「あぁ、食べてるぞ」
横に座ってきたレティシアにそう返すと、ウルスラの方を見る。
「レティシアちゃん、どうかしたの?」
ウルスラが問いかけると、レティーはぼーっと彼女を見ている。
「……レティシアちゃん?」
「え!?」
ウルスラが顔を覗き込むと、恥ずかしそうな顔をして彼女から離れる。
「どうしたんだ、レティー……ぼーっとして……」
「えっと、なんかあなたの事を知っているような気がして……」
「知っている?」
「うん、なんかわかんないけど……昔、あったことがあるような……あれ、でも……」
う~んっとうなりながら考え込むレティー。
「気のせいよ、私とあなたはあったことないもの」
「そう、だよね……」
いつもだったら気が済むまで考え込むウルスラに少し違和感を覚える。
まるでその話題を早く切り上げたいっといった感じの言動だった。
「それより、これ好物でしょ? ほら」
そう言ってウルスラは彼女の好物の人参卵を彼女の皿に取り分ける。
「なんで、私の好物……知ってるの……?」
その言葉にしまった……と動揺を隠せない顔で目を背ける。
このポンコツ……話題を変えようとして失敗するとは……。
「やっぱり、なんか知ってるの?」
「あ、いや……」
動揺して目が左右に動いている。
はぁ~、仕方ないな……。
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