仮契約


「仮契約をお願いするのです」

「仮契約?」

「仮契約とは、微精霊と契約する際の一時的な契約……目的、試練……様々な

試練をお主が与え、クリアしたと認めれば自動的に契約となるシステムよ」


 精霊王の話ではそれで一時契約として魔力を僕が与えることが出来るらしい。

 それ即ち、精霊王の契約がなくとも外に出られるという事だ。


「何故僕がそんなことをせねばならん」

「私の力を少し使ってみてほしいのです」


 精霊の力を借りた精霊剣か……。


「あれって契約した精霊としかできないんじゃないのか?」

「いや、仮契約でも行使は出来るわ」

 

 精霊の剣は強力で、他のどの属性剣よりも強力とされている。

 そんな精霊剣はその精霊の同意なしに扱うことはできないのだ。

 

「あれって精霊剣になれるのは優秀な精霊しかなれないはずだろう?」


 こういっては何だが、彼女は優秀ではない。

 魔法も剣技も総合的に見れば他の微精霊に劣る。


「精霊は誰しも可能性はあるわ」


 可能性ね……。

 という事は契約してみないとわからないという事だ。


「これから行く場所はお前にとって深い傷を残すかもしれないぞ?」


 これからやることは殺戮だ、それも一方的な蹂躙なのだ。

 ここで平穏に暮らしている奴が来れば、最悪心が壊れるかもしれない。

 

「いいです、私も覚悟の上です」


 彼女の目は真剣だった。

 こういわれれば断る理由はない。

 言ったところで彼女は引かない、なら一度現実を知るべきだ。

 

「後悔するなよ」


 彼女を守るくらいならどうってことはない。

 そうして僕らは仮契約という関係になった。









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