契約の申し入れ
「私と契約してほしいのです!!」
Cから発せられた言葉は予想していた。
「だから、何度も言っている……僕は契約しない」
「お願いします!!」
「僕じゃなくても、後で僕が精霊契約できる奴を連れてくる」
「嫌です!! あなたと契約したいのです!!」
意味が解らない……出会って数日、僕は彼女と話したことはあまりない。
何気ない会話……それだけで何もついてくる決意をさせるほどの事は言っていない。
「足手まといだ」
厳しい言葉……だけど、実際僕についてくるには力不足だ。
「強くなって見せます!!」
「契約しないと消えるからか?」
「………え?」
その言葉に彼女は意味が解らないといった感じで僕を見る。
「なんの……え……私が消える?」
何も話してなかったのか……。
気づいたところでもう教えてしまったのだから話すべきだ。
「微精霊は曖昧な存在だ、精霊王もしくは精霊契約の素質がある人間とある期限までに契約しなければ消えるんだ」
精霊王は何も言わずに顔を背けている。
「だったら、精霊王様……」
「契約は出来ない……私では其方とは契約が結ぶことが出来んのだ」
精霊王の言い放った言葉は彼女にとって死刑宣告だ。
「勇者様は……」
すがるような目で僕を見てくる。
嘘はつきたくないが……。
「できないよ、僕に精霊と契約する素質はない」
「どうして、そんな嘘を吐くんですか?」
僕の目を見てそう言った。
「嘘じゃないよ、僕に素質は……」
「いいえ、勇者様は出来ますよね? 私、わかるんです……上手くは言えないけど、目を見ればなんとなくわかるんです……」
嘘だ……そんな直感でわかるはずがない。
「嘘じゃないです」
そう言うと、彼女は右手を前に出した。
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