執念
暴風……只の突風ではなく風刃と呼ばれる風の刃を纏わせた攻防用の魔法だ。
視界が少しずつ、戻ってくる。
「勝たないと……」
微精霊Cは踏み込んで風を切ろうとするが、剣が風の刃に当たり苦戦しているみたいだ。
視界が戻り、魔法を解除すると彼女は視界が戻っていることに気が付き後ろに後ずさる。
「いい攻撃だ、勉強になったよ」
「ぐぬぬ……」
「風球!!」
複数の風の球を放ってくる。
「ふん!!」
僕の風斬によって一瞬で風球は切り伏せられる。
「もう終わりか?」
僕が煽ると、彼女は何事の考えもなく突っ込んでくる。
愚直……勝機がないのに行動するのは戦いでは否だ。
「はぁ~!!」
彼女が全力で踏み込んで僕に剣を振り下ろす。
踏み込みは前よりはよくなったので防ぐ。
そのまま剣で連撃を喰らわせてくる。
まだ粗削りだが、いい剣技を持っている。
剣を受け続けると、彼女は少しずつ疲れが見えてくる。
少しずつふらついてくる。
元々少しずらせば転げるが、彼女の必死な顔に満足するまで付き合う。
そして彼女は完全に疲れ、剣を地面に刺して身体を支える。
「そこまで必死になって何を考えているんだ?」
「私も敵のアジトに行きたいのです」
「何故だ?」
「精霊の仲間を助けたいじゃ駄目ですか?」
「お前じゃ無理だ」
今は普通に戦えているが、実際の殺し合いではどうなるかわかったもんじゃない。
「それにお前はここから出れないだろう?」
最大の問題……微精霊が精霊になる前に精霊王の住む森から出ることはできない。
出れば加護を失い、一気に存在がなくなり……消滅する。
「だったら私と……」
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