戦場の恐ろしさ

「早く来いよ」


 僕がそう言うが、誰も攻撃してくるどころかピノ以外の二人は完全に戦意喪失している。


「君は、戦ったことあるみたいだね」

 

 ピノは少し怯えながらも僕に剣を向けている。

 

「じゃあ、かかってきなよ」


 そう言うと、彼女は僕に容赦なく剣を振ってくる。

 いい踏み込みだ。

 だが僕の相手ではないので攻撃を弾き、後ろに下がった彼女をタイミングを外して切る。

 傷は浅いが、傷を受けて痛みで叫びながら胸を抑えている。


「僕が本気なら君は死んでる、それに早くたたないと死ぬ」


 そう言って彼女に向かって剣を振りかぶる。

 彼女の目は痛みと恐怖で絶望な顔をしている。

 心が痛むが、これが戦だ。


 僕は剣を振り下ろし、彼女の目の前で剣を止める。

 ピノは覚悟して閉じていた目を開く。

 僕は剣をしまい、彼女の頭に手を当てる。


 魔力を流し、彼女の傷は傷跡もなく回復する。

 僕は空間を作り出し、手を入れて羽織を取り出す。

 そして彼女の身体にかける。


「どこか痛むか?」

「いえ、でもどうして」

「僕は戦の恐ろしさを教えたかったんだ……すまない、痛い思いをさせてしまって」


 教えるとはいえ、完全に治したにしろ女の子の身体に傷をつけたのだ。

 それ相応の罵倒は覚悟している。


「いえ、いい経験になりました」


 いい経験か……。

 ここでいい経験って言えるのは精霊だからだろう。

 彼女らは人間では無い為、価値観が違うだけかもしれない。


 僕は見る方向を微精霊三人に変えた




 


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