悪くない剣技
「悪くない剣技だが、躊躇いがあるな」
戦って確信した、彼女は真剣を持つと弱い理由……それは人を傷つけてしまうという躊躇いだ。
仲間同士の剣術ならそれでいい、だが戦いとなれば一瞬の戸惑いが仲間や自分を危険に晒す。
「君は戦から離れた方がいい」
「……え?」
「君は戦いに向いていない、仲間が危険に晒されるから戦わない方がいい」
優しさなど、戦場では何の役にも立たない。
時に仲間であろうが刃を向けてくる奴は倒さなければいけない。
殺しは嫌な僕だが、自身の命が危険となれば話は別だ。
殺される前に殺す。
幾度となく、戦場で行われてきたことだ。
それは罪、人を殺して自分の生を勝ち取る。
僕のように力があれば、無力化も不可能じゃないが戦場に出た経験がなければすぐ殺される可能性が非常に高くなる。
「君は戦いになれば死ぬ、今のうちに違う道に進んだ方がいい」
「なんで貴方にそんなこと……!!」
「わかるんだ、僕は何度も戦場に出たからね……さっきから躊躇っていた理由は傷つけたくないからだろう?」
何度も見て生きた、戦場で戸惑った仲間を……殺すのを、傷つけるのを躊躇い隙を突かれて殺された。
僕の言葉に心当たりがあるのか、何も言い返せなくなる。
「お前達もだ、戸惑うな! 守りたい者がいるのなら、それを守るために迷わずやれ!」
そう言って僕は構える。
「微精霊C《こいつ》以外全員かかってこい、適性を見てやる」
僕はピノたちを睨み、そう言い放った。
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