生まれ持った才能

 戦闘センスが凄まじい。

 なんというか、臨機応変に対応する彼女の攻撃は予測しようにもしにくいのだ。

 

「うお、これで取れないですか」

「当たり前だ、こんなの戦だと日常茶飯事だぞ」


 彼女の攻撃など、僕が戦った奴らに見れば可愛いものだ。


「その実力でポンコツ?」

「この子、真剣を持つと途端に弱くなるのよ」


 ピノは呆れたように言う。


「だって真剣って重いのです」

「ほう……」


 真剣では弱いか……。

 通常、真剣を持った場合でも変わるのは持つ獲物が重くなるだけだ。

 彼女の場合、変わらない気がするが……。

 戦闘スタイル、センス共に彼女が弱くなる理由がなんとなくわかる。


「一回、真剣でやってみよう」


 真剣の置いてある場所に目を向ける。


「え、えっと……」


 露骨に嫌そうな顔で僕から視線を逸らす。

 恐らくだが、彼女はのだ。


「とりあえず、一回これで模擬戦だ」


 そう言うと僕は剣を抜く。

 微精霊Cも剣を取りに行き、剣を抜く。


「さぁ、攻撃してこい」

 

 そう言うと、彼女はためらう。

 しばらくしても来ないので、僕が先に攻めることにする。


「うぉ、早い!」


 僕は彼女の間合いに詰め、真剣を振りあげる。

 彼女は僕の大きな動作に、防御の構えを取る。

 いつもなら普通に攻撃するが、彼女が追いつけるスピードに合わせる。

 彼女に当たらないように防御に徹している剣に当てる。

 彼女の剣は僕の攻撃に耐えられずに吹き飛ぶ。

 そして僕は彼女にむかって剣を突き付けた。

 


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