精霊の剣技

 片づけを終え僕はみんなに云った訓練場に向かった

 昨日とは違い、それぞれ剣と槍でノブキで戦っていた。

 それぞれ最近持ち始めたのか、ぎこちなく拙い剣術だ。

 今は一対一で戦っているようだ。

ピノが教官となって三人と対峙しているようだが、まだ始めたばかりなのか相手でもなんとか戦えている。


「あ、勇者様!!」


 微精霊Cが僕に気が付き、近づいてくる。


「今日も訓練してくれるのですか!?」

「えっと」


 好奇心旺盛な瞳で彼女は見てくるので違うとは言いにくかった。

 

「こら、あんまり勇者様を困らせないの」


 困っている僕にピノはそう言った。

 

「困っているのですか?」


 その顔は狡い、抱き着いて目を潤ませて上目遣いして見つめてくる。

 この状況で困っているといえるほど僕は心が強くない。

 

「そんなことあるもんか、いいよ……訓練するか」


 溜息が出そうだったが、それを堪えて笑顔で彼女の頭を撫でた。

 そう言うと、彼女は笑顔で僕の腕を引っ張る。


「じゃあ、私とやるのです!」


 そう言って、木剣を僕に渡してくる。

 そして僕に突っ込んでくる。

 言うだけあって、まだ粗削りだがいい戦闘センスをしている。

 僕はギリギリ避けられるくらいの攻撃を喰らわせる。

 

「うぉっと!」


 何とかギリギリで避けながら、僕に攻撃を繰り出してくる。

 中々勘がいいじゃないか。

 だが、足元がお留守だ。

 僕は一歩前に行き、足を薙ぐ。

  

「うわぁ!?」


 そうして転げかけるが、身体をひねり片手で回転して僕の顔面に蹴りを入れようとする。

 僕が一歩下がると同時に彼女も距離を取った。

 









 

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