仲介

「危ないじゃない」


 そう言うと、レインは氷の剣を生成する。


「レイン、流石にそれは!!」


 ベルは流石に不味いと思ったのか、レインに声をあげる。

 レインは聞く耳を持たずに彼女に襲い掛かる。

 

「それを向けるってことは、手加減できないよ」


 再び彼女は剣を手にかける。

 瞬間、斬撃が三つ同時に彼女に襲い掛かる。

 レインは防御態勢をとり、難を逃れる。

 そして着地すると、再び突っ込む。

 エレナはもう一度、斬撃を繰り出す。


「何度やっても同じよ」


 しかし、レインはそのまま彼女に向かって攻撃してくる。

 四度目の攻撃に違和感を覚える。

 レインが少しずつ速く……否、これは……。

 私の速度が遅くなっているのだ。

 身体が重いわけでもなく、ただただ動きが遅くなっていく。


「レウル《あいつ》言ってたことはそういう事ね」


 エレナの攻撃は速度重視の攻撃だ。

 そして、レイン《彼女》の魔法は恐らく、触れ合うたびに動きを鈍くするものだ。

 エレナは避ける。

 避けなければ彼女の唯一の長所である速度を奪われ、やがてエレナの負けが確定する。

 そんなに彼女自身の攻撃は速いわけではないので避けられる。

 しかし、迂闊に攻撃もできない。

 

「避けるな!」

「避けなきゃ死んじゃうでしょ!」


 そう言って避け続けているエレナ。


「ベル、どういう状況だ!」

「え、レウル!?」


 一瞬、その油断によってレインの攻撃から視線が逸れる。

 あ、やば……。

 攻撃をエレナは受け止める。

 そのままレインは追撃しようとする。

 しかし、目の前には白銀の女性が立ち、レインの剣を受け止めた。


 


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