癒しの剣

「おやおや、相変わらずお転婆だね」

「ミリア、邪魔しないで!!」


 ミリアと呼ばれた女性は彼女の剣を自身の白く輝く銀色の剣で受け止める。


「そうもいかないさ、可愛いラナークのご主人の友人を殺すとなったらでるしかないよ」

「ふん、このシスコン!」


 そう言って力を込めて押し切ろうとするレイン。

 しかし、ミリアには全く効いてはいなかった。


「最高の誉め言葉だ、それに能力を上げた所で私と君では平行線だよ」


 ラナークが破壊の剣なら、ミリアは回復の剣だ。

 あらゆる治癒を施す癒しの剣、それがミリアだ。

 それはレインも例外ではない。


「私に勝てるのはセリスか、ラナ・ベルだけだよ」


 しかし、レインはそのまま戦闘を続ける。

 後ろに下がり、氷の魔法を放つ。


「別にいいんだけどさ、それでも」


 後ろに気を配りながら、最低限の氷を切り落としていく。


「相変わらず君は子供だな」


 その煽りに怒りが増すレイン。


「そういう所だよ、君は」

「うるさ~い!」

 

 レインは魔法速度を上げる。


「速いね、だけど……」


 速度が速いだけの球など何の意味もない。

 やることは変わらなかった。

 ミリアの傷は少し傷つくことはあれど、彼女の能力ですぐに回復する。

 どのくらいたっただろうか、魔力が少なくなりレインの身体は薄れていく。


「懲りないね~、ほらレウル《君》からも何か言ってあげな」


 ミリアが僕を見ると、僕はレインに近づいた。





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