殲滅

 レインは案の定、下っ端の魔族を殺さないまでも再起不能にした。

 レインにガキとか子供っぽいとかは禁句なのだ。


「レイン、やりすぎだよ!!」

「私は悪くない! あいつらが悪いのよ!」


 そう言って魔王城に入っていく。

 

「一言親玉に言わないと気が済まないわ!」


 こうなると、ベルの手には負えない。

 力づくでもいいのだが、彼女はそういうのはあまり好まないタイプなのだ。

 ベルはレインに後ろからついていく。

 

「不味いんじゃない、このままだとご主人と魔族が敵対する可能性が……」

「知らないわよ!」


 説得を続けるのも空しく、魔王の玉座に着く。

 レウルが何度も行き来しているため、私たちも場所を知ってるのだ。

 玉座に着くと、門が独りでに開かれる。


「貴様ら、いったい何者じゃ?」

「あ、あの私たちは……」

「アンタが親玉ね! 部下にどういう教育してるのよ!」

「ちょっとレイン~」


 説明しようとするベルを遮ってレインが言うので戸惑ってしまうベル。


「そんな喧嘩腰じゃ駄目だよ~」

「ふん!」

「すみません、ウルスラ様……私達はレウルの妹分のベルとレインと申します」

「レイン?」


 そう言うと、隣にいた……確かエレナと呼ばれていた女性が私たちを見る。


「もしかして、レウルと戦ってた時に出てきた子供っぽい言動の剣の子?」


 あ、地雷踏んだ。

 ベルはそう思いながらレインを見ると、笑っていた。 

 しかし、その笑顔は確実にいいものではないと確信が持てるほどのオーラを放っていた。

 レインはエレナに向かって魔法を放つ。

 エレナは何事のないような顔をして剣に手をかける。

 瞬間、氷の刃は彼女の前で粉々になった


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る