34 そのころの魔王城
カノンが休暇を取って不在の魔王城では……。
「う~ん、新しい勇者か~」
ノウェムが水晶を見てそう言い放つ。
彼女の魔法は使い魔の羽の一部を水晶に組み込み、使い魔の視界を水晶と共有する魔法だ。
「今回の勇者は無事生き残ってくれると嬉しいけどなぁ~」
彼女は新しい勇者の事を知っていた。
本当は彼女も新しい勇者を保護したいのだが、聖剣が手元にあるので下手に手出しをするとこっちが痛い目を見かねないからだ。
「取り敢えず、今回は大丈夫そうかな……」
魔王軍の諜報員からの情報では魔王軍のデマ情報を信じて動いている。
森に魔王幹部カノンがいるという噂を流して勇者をおびきだしたのだ。
「パーティーは四人、お供のクラスは恐らく~回復士と魔法士とあと一人は~」
その瞬間、もう一人の男の目が使い魔を捕らえると、水晶がピキっと音を立ててひび割れるとパリンっと砕け散った。
「もしかして、勇者は……」
もしかしたら聖剣を持たせているだけで真の新しい勇者は傭兵姿の男なのかもしれない。
「これは少し、不味いかも~」
気配に敏感な傭兵上がりの勇者ほど厄介なものはない。
通常の勇者であれば、それほど修羅場をくぐっていないので実力を把握しやすいが、傭兵は素性の知らないならず者だ。
ヤバい橋や戦闘を繰り返している歴戦の猛者だ。
「どうする? ウル~」
目の前のウルスラが考えていると、兵士が一人入ってくる。
「報告します、デレス殿の軍が侵軍しました」
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