30 暴走
「姉さん……」
カナはそう呟くとカノンは身構える。
「カナ、久しぶ……!?」
そう言いかけたところで、カナはカノンに物凄い勢いで抱きつく。
「姉さん、久しぶり!! 元気にしてた!? 二週間ぶりだね!! なんで私に会いにきてくれなかったんですか!! 姉さん姉さん!!」
いつものクールで落ち着いた雰囲気の彼女は何処へやら、カナは別人のように早口で喋りながらカノンの胸に顔を埋める。
「ちょっとカナ! どこ触って……!」
「ふふっ、姉さんの感触久しぶり……そして匂い……あぁ!」
もう完全に別人じゃないか……。
目の前にはお淑やかのカケラもないただの変態がそこにはいた。
「もう、一旦落ち着きなさい!」
カノンは右手に魔力を込めて彼女を抱きしめる。
「あぁ、姉さん……やっと私の気持ちに……」
その瞬間、カノンの身体から電気が放電される。
カナは放電に巻き込まれて叫び声をあげる。
カノンの魔法が解けると、カナは力が入らないのだろう。
ビクビク震えて掴んでいた腕が下に落ちる。
カノンは抱き抱えたまま彼女をそのまま寝かせる。
「全く、この子はいつもいつも私を見つけるとこうなんだから!」
「それだけカノ姉が大好きって事だよ〜」
頭を抱えながらカノンが言うと、レイナは笑顔で言い放つ。
「だから会いたくなかったのよ……」
カナはカノンの事になると感情が暴走するのだろう。
だから彼女はカナに会いたくなかったのだ。
「カナ姉〜、ありゃ、お寝んねしてる」
レイナはカナをツンツンと指で突きながらカナに問いかけるのだった。
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