29 案内人レイナ

「ここが、食堂になります!」


 そう言うと、先程説明した場所から綺麗に回っていく。

 説明しようとしたが、頑張りたそうだったので黙ってついて行く。

 カノンは先程説明したにも拘らず、楽しそうにレイナの言葉を聞いている。

 

「えっと、次は……」


 可愛らしい手で、説明したところを指を折り数える。

 

「えっと、えっと……」


 がんばれ!


 心の中で応援する。

 

「………あ!」


 何かを思い出したようで再び歩き出す。

 そうだ、この後行く場所は……。

 そうして歩いて行くと、場所はお風呂場。

 

「ここは、お風呂! 左が女湯? 右が男湯? です!」


 僕が言った言葉を思い出しながら必死に説明する。

 そして一通り、説明を終えると。


「以上で終わりとなります!」

 

 胸を張りながら、誇らしそうにレイナは言う。


「ありがとう、助かったよ~。 レイナは偉いね~」


 カノンはレイナの頭を撫でると「えへへ~」っと頬を綻ばせる。

 そうしていると、どこからか誰かを探す声が聞こえる。


「レイナ~、全くどこにいるのよ……レイナ~」

「あ、カナ姉の声だ! お~い!」


 声が聞こえて誰か分かったのか、レイナは声のする方へ走っていく。

 

「あ、いた。 駄目じゃない、一人でうろうろしちゃあ」

「あのね! こっちきて!」

「あ、ちょっ!」


 そう言うとカナはこちらに現れる。

 カナは驚いたように目を見開いた。


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