31標的

 目を覚ます前にカノンはレイナにカナの事を任せると、僕らは広場へ向かった。

 休憩用の椅子に僕達は座ると、子供たちが寄ってきた。

 

「カノ姉! 遊んで!」

「カノ姉は私と遊ぶの! おままごとしよ!」

「カノ姉、見てみて! 俺あの魔法を使えるようになったよ!」


 カノンの周りは子供達で埋め尽くされ、僕は邪魔者かのように追い出された。

 カノンは戸惑いつつも、一人一人丁寧に相手していく。

 思ったが、


「はいはい、それじゃあこうしましょう!」


 人差し指を立てて提案する。

 そしてその指は僕の方に向けられる。


「そこにいるレウルを捕まえた子と今日は遊ぼうと思いま〜す!」


 そう言うと、子供たちの目が僕に向く。

 まるで獣が獲物を見るような、そんな目で僕をみてくる。


「それじゃあ、よーい、ドン!」


 子供達は魔法を発動する。

 子供とはいえ流石は魔族。

 初級魔法 バクという魔法だ。

 この魔法は鎖が一つ対象に向かって絡みつく。

 僕は子供達の魔法を必死に躱していく。

 他の魔法なら発動対象を見れば、軌道が読みやすいからなんとかなるが、今は複数相手だ。

 それぞれがそれぞれで動いているので、軌道がわからない。

 それに最も厄介なのが、目的が同じなので鎖が連携をとって襲ってくる。


「さぁ、皆、頑張って〜!」


 笑顔でカノンは応援すると、子供達は一層気合が入った。


「陣を分けるよ!」


 一人の女の子がそう言うと、複数に分かれる。

 3人1組の計7組だ。

 前後左右、四方八方に散らばる。


 3組は鎖の魔法を継続する。

 残り4組は自分達の利き手を前に出し、詠唱を始めた。






























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