11 聖剣と魔剣

「ところで疑問に思っていたのだが、ウルスラって魔剣を扱えるのか?」


 僕と戦う時も彼女は魔剣を使う姿を見るどころか、帯剣すらしていなかった。

 まぁ、僕も同じなんだけど。


「いいや、現在魔剣の持ち主は私ではない……魔族は力が全てだからな、魔剣を持っていようと弱ければ下っ端だ」

「そうか、ん? 今現在という事は……」

「あぁ、私は元魔剣の所持者だ……っと言ってもほんの一時だけだけどな……」


 魔剣……聖剣と同じく悪魔の剣、魔王の象徴とも呼べるそれを手に入れた者は絶大な力を得ることが出来ると言われている。


「魔剣の奴は基本、天邪鬼なのだ……気に入らないとなればすぐに持ち主を変える面倒な奴なのだ」


 ウルスラの話では最短で一日で見捨てられた奴もいたらしい。

 

「お前も聖剣の所持者だったなら声が聞こえただろう?」


 先程から何か引っかかる。

 まるで魔剣や聖剣に意思があるような言い方だ。

 言ったらなんだが、僕が持っていた時の聖剣はいつの間にか僕の近くにあった。

 しかし、声など一度たりとも聞こえることなどなかった。

 

「聞えたこともないし、剣に意思があるなんて初耳だ」

「なんじゃ、そっちの聖剣は声が聞こえんのか?」

「聞こえた事なんてない。 他の元勇者が聞いてたかもしれないが、皆死んでて確かめようがないしな……」


 ウルスラが不思議そうな顔をして僕を見ている。

 

「何だよ……」

「歴代勇者でまだ生きてるやつはいるぞ?」


 えっ……。

 歴代勇者は皆死んでるって……。


「どうせ大方、お前は例外とか言われて信じたんでしょ? 馬鹿じゃないの?」


 クスクスっと馬鹿にして笑うウルスラの事よりって言葉が頭に残った。




 

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