10 魔族という存在

「それで? お前はどうするんだ?」

「人同士の事に口出しはせん、そもそも我らは戦争はしたくないのだから」


 そう言えば、戦争したくないって言っていたな。

 なのに戦争を起きるなんて、魔王ってのも苦労するな。


「それに、人族が互いに勝手に戦ってくれれば私達に来ることはない。

 私にとっては大歓迎だ」

「魔族は内部での争いが無いのか?」

「完全にないとは言い切れんが、人族よりは圧倒的に少ないぞ」


 もしかしたら人族とは違い、魔族は個人の力で従えるからか逆らう奴が存在しないのかもしれない。


「っと言うより魔族はそもそも戦いなど好まない連中が多いのだ」

「そうなのか?」

「あぁ、人族そっちにどう伝わってるかは知らないが、元々魔族ってのは力があるから長になりたがらない奴が多いのだ」


 その割には俺に対して躊躇なくぶっ放してきたけどな。

 そう思ったが、煽った僕も悪いので言わないでおく。


「まぁ、多いってだけでいないわけではないのでそう言う奴は必然的に魔王になりたがるから、それを阻止するって意味で戦いの好まない穏健派から強いのを複数名出して魔王になっている」

「因みに穏健派以外でなったことのある奴はいるのか?」

「あぁ、私の前の奴はそうだった……人族と全面戦争しようとして先陣切って…… そして、死んだ」


 先陣切るだけ良い将だ。

 あのクソ王は後ろでふんぞり返っているだけだったしな……。

 思い返してみれば、面倒事はノウェムか僕に来ていたように思える。



「まぁ、そのおかげで人族が攻撃するきっかけを与えてしまったので私は貧乏くじもいい所だよ……」


 彼女の先代の魔王馬鹿のせいで苦労してるんだな……。



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