ー結
僕は厨房の中の窓際のカーテンをめくると、新調したカーテンの下に一匹の蜂の死骸が見つけた。
「カラカルさんを殺したのはこれ。少なくともベンガルさん、カラカルさん、ボブさん、ミーアさんは子供の頃に同時に蜂に刺された事がある。ミーアさんが洗濯して家から持って来たカーテン。昔刺された貴方たちの匂いがする衣類と一緒に蜂がいつの間に寄ってきたとしたら。
「子供の頃に蜂に一度刺され、そして今」
そのカーテンを手渡されたカラカルさんに付いた蜂が何かの拍子で刺されて急死した。
カラカルさんの死因はアナフィラシーショックが原因だったんだ。
「貴方」
ロゼッタさんは亡き人を慈しむような目でベンガルさんに言った。
「あの日、店の中に飾られていたのは白いカサブランカでした。祝福を意味する花。彼は私たちを祝ってくれてたのよ」
「‥そうだったのかぁ」
悔やむベンガルさん。カラカルさんは蜂に刺されて亡くなったのだけど、これで僕の刺さらない推理は終了する事となった。
それから数ヶ月後、僕は再び元カラカルさんのお店に行った。前に来た時に咲いていた淡い紫色の白詰草は枯れてクローバーのみとなったけど。
僕は玄関前に居るミーアさんに挨拶した。
「おはよう」
僕は周りのプランターに水やりをしているに挨拶をした。
この店はボブさんやミーアさん、そのほかの仲間がお金を出し合って共有の場として店を開き、それぞれの得意料理を振る舞っていた。
「マヌルか。いらっしゃい!おうジャコウ、ちょっと早いけど休憩しろ」
僕を見たボブさんが景気いい顔で笑いながら厨房に向かって叫んだ。
僕は店のテーブルに座り暫くすると、この店で見習いとして働いているジャコウがガラスの器の乗ったお盆を手に現れた。
「ようやく完成したよ。君の欲しかったものがこれだったとは」
僕はこの為に解決させたのだから。僕の前の小さな器を目にスプーンを持つと早速口にした。
「うん、美味しいよ」
器には黄色いカスタードと赤い苺のカラメルの乗ったプリン。僕とジャコウは一緒にそれを食べるのだった。
僕はカラカルの森の店で刺さらない推理をする 嬌乃湾子 @mira_3300
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます