ー転
それでカラカルさんの死因は自殺だと言う事で終わったのだった。
「しかも私たちが店にいた時に死にやがって。あてつけもいいところだぁ!」
「信じられない」
話を聞いたジャコウは誰にも視線を向けずに否定した。
「料理の事だけに真摯に向き合っていた僕の兄がこの人に振られた位で死ぬ筈が無いよ」
「貴様ぁ!子供といえど彼奴同様に訴えてやるからな!」
「貴方!彼は子供なのよ。そんな言い方はやめて!」
「ロゼット‥そう言うが彼奴は俺の気持ちを無碍にしたんだよぉ‥俺が用意させた花も勝手に棄てやがって!」
「その花って‥どんな花だったのですか?」
僕は受け取った花の事を尋ねると、ミーアさんはうろ覚えに答えた。
「よく覚えていないけど‥そうだ、後から同じものを要求されてもいいように、念のため写真撮ってあったの」
僕はその写真を見ると、暫くの沈黙の後、こう言葉を発した。
「原因は貴方です」
そう言ってベンガルさんを指差した。
「マヌル、子供だからってふざけるなぁ!」
「だって、毒を入れたのはベンガルさんだから」
「何故私だと?」
「この写真を見て」
僕は皆んなに色とりどりの花束の写真を見せながら説明した。
「色んな花があるけど、ニリンソウの中に混じっているこれはトリカブトの葉だよ」
「げっ!」
「ミーアさんはそれに気づかず店に飾ろうとしたんだ。だけどそれに気づいたカラカルさんは違う花にしようと言い、ゴミ箱に棄てたせいでをネズミや虫が死んだんだ」
「こんな事になるなんて思わなかった。それでは私のせいで‥」
「そうだ、俺たちが迷惑を被っているのは
皆んな信じられないといった表情をする中、追い討ちをかけるようにボブさんが言葉を吐いた。
「俺たちはお前のお陰で小さい頃からとんだ目に合っている。あれは森に入った時の事。俺たち同級生はベンガルがふざけて蜂の巣に投げた石のお陰で蜂が群れになって襲い皆んな刺された事があった」
「‥そういえばそんな事もあったわ。でも昔のことじゃない」
『はっ!』
その話を聞いた僕は何を思ったか厨房に走った。そして店内に戻ると皆んなに言った。
「僕、解ったんだ。カラカルさんを殺したのは」
「何!?」
皆んな僕に注目すると、再び声を上げた。
「それでは、カラカルさんを殺したのは━」
ロゼットを奪ったベンガルなのか?
ベンガルに反感を持っていたボブなのか?
元彼女のロゼット?
それとも、ミーア?
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