ー承

早速僕はこの店の中を見渡した後に当時の事を整理する事にした。


あの日この店にいたのはカラカルさんとロゼッタさん、他には従業員のボブさんとミーアさんが居た。



ミーアさんは素直で働き者。慌ただしくなるとちょっとうっかりしてしまう。


ボブさんはいい人だけど喧嘩っ早くてちょっと喧嘩っ早い。


街で富豪のベンガルさんは金でものを言わせる性格。その奥さんのロゼッタさんはベンガルさんと結婚したばかり。おっとりとした性格で街1番の美人と噂されていた。


しかしロゼッタさんはカラカルさんの元彼女という立ち位置だった。彼と別れてからはベンガルさんと付き合い婚約したという曰く付きで、そのせいで当時は世間から羨望の眼差しと共に当然金目当てなどと噂された。

そのベンガルさんはロゼッタさんには相当デレっていた。彼は他人には厳しいが彼女には猛烈に優しかった。



「まずミーアさん、貴方は亡くなったカラカルさんの第一発見者でしたよね。その日この店では何があったかを教えて欲しいのですが」


「はい。余り上手に説明出来ないのですが‥」


そう返事をしたミーアの供述では当時の状況はこうだった。



この日、ベンガルさん夫妻が店にいらっしゃると言う事で店の中は慌ただしかったのです。


ベンガルさん側はお出しする料理の好みや従業員の対応、店内の事にも注文してきていつも以上に注意が必要でした。


「この店は埃っぽくて駄目だ、テーブルクロスやカーテンも新調するように」


カラカルさんは私たちに事細かく指示をしてきて私はカーテンやテーブルクロスも洗濯したのを運んだりと対応に追われていました。


私が店内にカーテンを取り付けようとした時、店に先に来ていたベンガルさんの関係者の方がある事を言付けてきました。私はカーテンと関係者の方から受け取った花束を手にしながらカラカルさんにその事を伝えました。


「カラカルさん、この花なんですが」


私は新聞紙に包まれた花束をカラカルにさん見せました。


「ベンガルさんが通りかかった時に見つけたそうです。これを店に飾って欲しいとおっしゃってました」


でもカラカルさんはその花を見ると難色を示すような表情に変わったのです。


「いや、花はもう用意してあるからその花は破棄しよう。もう時間が無い。カーテンは私が取り付けるから君は他の事にかかりなさい」



そう言ってカラカルさんは花とカーテンを受け取ると私は別の仕事に取り掛かりました。そうこうする内に時間が来てベンガル夫妻がやって来たのです。


「お待ちしておりました。ベンガル夫妻」


ベンガルさんは案内されたテーブルを見た後、店内を見渡し私に言いました。


「ん?花が飾られていないじゃないか」


テーブルには自分が用意した花では無く白い花が花瓶の中に飾られていて、ミーアはどう説明していいか困惑するように弁明した。


「申し訳ありません。これには事情がありまして」


「私がロゼットの為に摘んで来た花が気に入らないのか!指示したのはカラカルか?」


期限を悪くしたベンガルさんは凄い剣幕で怒鳴り散らすと、ボブさんが私の間に割ってきました。


「そうですが。これ以上そちらの命令に構ってられないんでね」


ボブは私に奥に戻るように言うと、彼は噛み付くようにベンガルさん睨みました。


‥‥その時です。厨房に戻った私が倒れているカラカルさんを見たのは。



「大変、カラカルさんが!」




その後警察が来て私たちは事情聴取を受けたのですが誰も当時彼を見ていなかったのと、ゴミ箱付近から数匹の虫とネズミの死骸が見つかりそこから毒物が検出され、この死骸は彼の持っていた毒で死んだと判明したのでした。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る