第32話 愛されるより!
「ねぇ椿、私、待っているだけじゃだめだと思うの」
お屋敷のいじめ事件も一件落着し、数日経ったある日のことです。かぐやが唐突に立ち上がりました。その勢いで、おひたしの入った小鉢がひっくり返ってしまいました。
「姫様。何をいきなり。食事中に立つのはやめてくださいまし」
椿がなだめてかぐやはようやく座りました。でも彼女の目はぎんぎんにやる気に満ちています。
「愛されるより愛したい。見つけられるより見つけたい! 分かる? 椿?」
「えぇはい……」と椿は小さく返事しました。彼女は分かっています。一度かぐやがこの状態になってしまうと、落ち着かせるのは至難の技です。長い付き合いの彼女ですら、中々苦労してしまいます。以前も、「マグロを捌きたい」と言ったかぐやを止めるのに約一週間かかりました。
なお、折れたのは椿の方ですが。
※大量のマグロはお屋敷の皆で美味しくいただきました。
かぐやの旦那探し @sunf
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