第31話 梅子の処遇

「ふぅん。まぁいいわ。今回のことは見なかったことにするわ」


「本当にありがとうございます。私梅子、一生姫様に仕えさせていただきます」



 梅子が退室した後、かぐやと椿は2人きりになりました。2人とも、心の中で大きな溜息をつきました。



「本当にいいのですか。梅子とその相手、二人揃ってクビにすることだってできるのですよ」



 椿が聞くと、かぐやはつまらなそうに笑って言いました。



「いいの。梅子は優秀だから私のために働いてもらうわ。一生ね」


「なんて心の広い姫様」


「そうでしょう。早速、私が生まれた場所の最高責任者にでもなってもらおうかしら」



 こうして梅子は、山奥の竹林の小さなぼろ家に送られました。彼女の仕事は、成長する竹のお世話です。毎日竹を間引いては、竹細工にしてお屋敷に送ります。自然豊かな環境では、きっと素敵な和歌もうまれることでしょう。

 掃除係の男も一緒に送りましたが、すぐにいなくなってしまったようです。彼が愛していたのは、梅子ではなくて彼女の役職だったのかもしれませんね。


 そして梅子が竹林に行った日、「恋愛禁止」と書かれた紙がお屋敷の中に貼られるようになりました。ただ、睡蓮と雛菊はかぐやから「皆には内緒よ」と言ってもらったそうですよ。


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