第30話 事件の真相
「私まだ仕事が残っておりまして。申し訳ないのですがあまり長いはできないのです」
「お仕事っていうのは、男遊びのことかしら?」
梅子は床の一点を見つめたまま、動かなくなってしまいました。その様子を見て、かぐやはにやりと笑います。
「あの和歌、どうして漢字で書いてあったのかしら。貴女は女性なんだから、普通得意なひらがなで書くはずよね。」
「えっと、私、漢字の勉強もしてまして」
「へぇ。あなたがあんなに完璧に漢字が書けるなんて知らなかったわ。それに、あの最悪な和歌は貴女が詠んだのね。お屋敷の中で一番和歌に長けている貴女が」
梅子はこれ以上言い訳をするのを諦めました。それからぽつりぽつりと本当の事を話し始めました。
「つまり、あなたはお屋敷の中の掃除係と付き合っていて、その彼が多彩な雛菊に嫉妬したわけね。それであなたに彼をいじめるよう指図した。でもあなたも雛菊のことはいじめられなかったから睡蓮に嫌がらせをしたってわけね」
事の真相を聞いたかぐやは呆れたように言いました。梅子達がやったこと自体も最悪ですが、更に酷いのは彼女が全然反省していないところです。
「雛菊に嫉妬するのはしょうがない」「ただのいじめだから許してほしい」とふざけたことばかり言っています。また、その掃除係の男の話をするときはどこか嬉しそうな顔をしています。こんなことを指図されてもなお彼のことが好きなのでしょう。
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