第29話 女達の嫉妬

「はい分かっておりま……え?」



 かぐやの言葉に梅子も椿も驚きました。



「いや、貴女の気持ちはよーく分かるわ。でもね、こうして証拠が残ると後片付けが面倒になるじゃない」



「姫様」



 椿が止めても、かぐやは黙りません。



「いやぁ雛菊いかれたか。まぁでもあの顔だったら彼も大満足でしょうね。くそーむかつくわ」



「姫様」



 かぐやの愚痴は止まりません。気付けば梅子も「ですよね~」と楽しそうに話に加わっています。若く端正な顔立ちをしている雛菊をとられたのが悔しいのでしょうか。



「いやね、私も雛菊とどうにかなろうと思ってた訳じゃないけど、まさか睡蓮と結婚するなんて。確かに可愛いけどさ……」



 先程まで睡蓮を慰めていた優しいかぐやはもうどこにもいません。睡蓮がこの様子を見たら、きっとパニックで涙も出ないでしょう。



「姫様に分かってもらえて何よりです。それでは私はこれで」


「ちょっと待ちなさい」



 かぐやの冷たい声で梅子は立ち止まりました。秋の夜風が流れ込んできて、部屋を一気に冷まします。

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