第28話 かぐや……?

 暫くしてまた襖が開きました。そこには椿と、ばつの悪そうな顔をした梅子が立っています。梅子は膨らんだ頬を更に膨らませて、かぐやと目が合うとすぐに逸らしました。



「貴女何をやっているのよ」


 切れ長の目が梅子を捉えます。

普段2人は部活の先輩と後輩のような仲です。梅子は優秀なので可愛がってはいましたが、たまに他のお手伝いさんに攻撃的な発言をするので叱ることもありました。また、自分のお世話係に梅子じゃなくて椿を選んだことも彼女にとっては不満だったのでしょう。


 どうして椿だけなの?と怒りと焦りを抱いていることも、かぐやは知っていました。確かに勉学やマナーの点においては彼女は椿に引けを取りません。それに和歌にいたっては、このお屋敷で1番と言ってもいいほどの腕前です。何度もかぐや主催のコンテストで優勝しています。


「すいません姫様」


 梅子が不満そうな顔をして頭を下げました。髪型は綺麗に整っていますが、髪が一本だらんとだらしなく垂れています。


 そんな梅子をみてかぐやは溜息交じりに言いました。



「証拠に残るいじめはやめなさいよ」

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