第27話 いじめの原因
「ちょっと、これは一体何なの? 枕詞も掛詞もなければ、字も余りまくっちゃってるじゃない。本当に梅子が詠んだの?」
必死に笑いをこらえている椿の横で、睡蓮は一層激しく泣き始めてしまいました。
「これは名高いお坊さんに頼んで燃やしてもらうわ。それより睡蓮、どうして貴女がこんな目に遭わなくてはいけないのかしら。彼女を怒らせてしまったり、恨まれるようなことをしたりしてない?」
かぐやが背中をさすりながら優しい声で聞きますと、睡蓮の呼吸も整ってきました。
「実は私、雛菊様と恋仲関係にありまして。それで梅子さんに目をつけられているのだと思います」
雛菊というのはお屋敷の中で働いていて、元々馬の世話係だったのですが最近翁の世話係になった男です。若くて優秀なうえ顔もよく、女性からの人気も高いんですよ。
「雛菊と?」
「はい。一年ほど前から。もうすぐお嫁にいこうと考えています」
「なるほど。うん。よく分かったわ。睡蓮、もうお戻りなさい」
かぐやはすぐに元いた場所に座り直し、ひじ掛けにどしりと肘を置きました。睡蓮は何が起きたか分かっていない様子でしたが、そのまま一礼して退室しました。
「椿、次は梅子を呼んで」
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