第25話 睡蓮の涙
「お待たせしました」と椿。そしてその後ろから泣きじゃくる美しい女性、睡蓮が入ってきます。
長い睫毛をつたって透明な滴がぽろぽろと零れる様子があまりに美しく、かぐやは一瞬言葉を失ってしまいました。緋色の着物を着こなすその姿は、睡蓮姫と思わず呼びたくなるほどの秀麗さです。
「すみません姫様。私なんかのために」
睡蓮は深々と頭を下げました。彼女の背中はまだ震えています。
「いいのよ睡蓮。こちらこそ辛い思いをさせてごめんなさいね」
かぐやは睡蓮を優しく抱きしめました。彼女の体は細く、かぐやの中にすっぽりと納まります。かぐやが震える彼女の頭を撫でると、一層大粒の涙が零れおちました。それはまるで宝石のようにキラキラと輝いています。
「さぁ。泣いてばかりいないで話してごらんなさい」
睡蓮は小さく深呼吸をしました。それから泣きじゃくりを落ち着かせると、覚悟を決めた目つきで前を向きます。それから小さな口を開いてゆっくりと話し出しました。
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